【Vol.602(2022.07.08)】部活動は入試の評価対象

先ごろ発表された文科省の調査結果で、公立高校の一般入試において

何らかの形で「部活動を評価対象とする」と答えた道府県が33にのぼることが分かりました。

<高等学校入学者選抜における部活動の評価>

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つまり多くの地域で、内申書において部活動が評価対象となるということです。

「内申書」は、評価者である先生以外にとってはまさに謎に包まれた存在。

「実物を見たことがない」という人も多いのではないでしょうか。

そのせいもあって、部活動をやっていることがどのような形で評価されるのか、

全体評価の中でどのくらいのウェイトを占めているのか、

そもそも本当に評価対象となるのかさえ不透明でした。

結果として、高校入試への影響を考え、やりたくなくても部活動に加入したり、

辞められなかったりという事態が横行していたのも事実です。

入試における多面的評価の傾向が強くなる一方で、

勝利至上主義などの行き過ぎた指導や部活動の強制化など、

過剰に部活動を重視する風潮を問題視する声も強まっています。

この調査結果をふまえて、塾としての部活動への向き合い方を一緒に考えてみませんか?

調査結果では、先述したように33の都府県が「評価対象とする」と答えています。

どのように評価するのかについては、

多くが「総合的に評価」という非常にふんわりとしたものでした。

中には埼玉県や佐賀県のように「顕著な成績がある場合は加点」と答えた県もあります。

大きく教育改革を進めていることで注目を浴びている広島県では、今年度の入試から

「内申書に部活動の成績などを記載するのをやめ、

生徒が面談で自由に自己アピールする方式に改める」そうです。

こちらとしてはもっと具体的に何をどのように評価するのか知りたくなりますが、

面接なども含めた評価となる場合もあるので「総合的に」としか言えないのは

致し方ないところかもしれません。

一方で、その他の14都府県の回答は「その他」。

明確に「評価対象としない」ところや「学校によって異なる」という内容でした。

東京都などは明確に「対象としない」、

神奈川県は「面接での参考材料に用いる程度」などと答えています。

結論としては、現状では部活動に対する評価基準(配点など)は、

積極的には公表されていないし、各都道府県によって異なるということですね。

これに対し、国の有識者会議は

「入試要項や各高校のHPなどで基準を明記すべき」と提言しているようです。

確かに生徒さんにとっても、保護者さんにとっても、

受験サポートを行う私たちにとっても、そうした基準があるほうが助かります。

試験なのですから評価基準を示さないこと自体がおかしいとも言えますしね。

しかし「○○していたら●点」のような統一基準が明確化されてしまうと、

部活動が受験のためのものになる風潮が強まるのではないかという気もします。

受験のためのボランティア、受験のための部活動……

教育的観点からも由々しき問題ですし、う~ん。

まあ、勉強が受験のためになっていることもそもそも問題なのですが、

それはまた別の機会に論じるとしましょうか。

せっかくなので、各都道府県の回答別にまとめてみましたので、ご参考にしていただければ。

あなたの地域ではいかがでしたか?

■部活動を「総合的に判断する際の資料とする」

北海道 宮城県 山形県 茨城県 栃木県 新潟県 富山県 石川県 福井県 長野県

岐阜県 静岡県 愛知県 滋賀県 京都府 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県

広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 長崎県 大分県 宮崎県 

鹿児島県

■顕著な成績がある場合は加点

埼玉県 佐賀県

■その他

青森県 岩手県 秋田県 福島県 群馬県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 三重県

大阪府 兵庫県 熊本県 沖縄県

【今回のまとめ】

・部活動を高校入試の評価対象とする地域は多い

・評価基準の明確化は是か非かも意識したいところ

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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