【Vol.603(2022.07.13)】「おひとりさま」最優先の塾、その後

2年前の2020年2月、コロナ禍が本格的に始まる前に、
当メルマガで『「おひとりさま」最優先の塾』というテーマでお届けしたことがあります。

【「おひとりさま」最優先の塾】
https://note.com/notes/nc9d9d6a0bb2f

弊塾では「一人で真面目に勉強している生徒さんを最優先すべく、休憩中も私語は禁止」
という教室運営方針を定めており、その狙いや真意について解説した内容でした。

弊塾は、もともと静かな雰囲気の中でもくもくと勉強するタイプの塾ですが、
休憩時間中に関しては「うるさくない範囲で私語OK」という曖昧な対応でした。

しかし、それを休憩時間中も含め、すべて私語禁止という方針に変え、
この2年間教室を回してきたのです。

「厳しいな~」「そこまでしなくても」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、
結論としては「やってよかったな」と感じています。

今では、社員や講師からの声掛けがあった場合を除き、
休憩時間中に誰一人しゃべることはありません。

塾はしゃべりにくる場所ではないという考えのもとでの実施です。

もちろん極端な対策であるという自覚はありますが、先述した
「一人で真面目に勉強している生徒さんを最優先」を形にしたらこうなりました。

結果的に「志望校に合格するために」通塾している生徒さん、
別の言い方をすれば「本気で勉強に集中したい」生徒さんには
とても居心地のいい教室になりました。

反感を覚えた生徒さんもきっといたでしょうが、当時はまさにコロナ禍が始まったばかり。

社会全体が「不要な会話は控えるべし」といいう空気になり始めていたころでしたので、
受け入れてもらいやすい下地もあったと思います。

タイミングがうまく重なった感じです。

とにかく「しゃべらない」ことが世の中のマナーとされる中で、
それに慣れていったのか、生徒さんはとにかく静かに勉強する習慣がつきました。

感染拡大防止のタイミングと弊塾の方針がきれいにマッチし
結果論ながら奇しくもそれが「普通」になった形です。

それもあってか、2020年度以降に入塾していただいた生徒さんも、
「できるだけ静かな塾がいい」「一人で通うのに抵抗がない」といった
「おひとりさま」がものすごく増えた気がします(笑)。

こうした弊塾の方針が友達経由で伝わっているのか、
ホームページに掲げた「真面目に勉強したい人の塾です」という
キャッチコピーが響いているのか不明ですが、
少なくとも弊塾の方針に合った生徒さんがきてくれているのは事実です。

もちろん、生徒さんたちの中には、本来は賑やかな性格で、
学校ではワイワイガヤガヤしている生徒さんもいます。

しかし塾に来ればそれは切り替えて、
いい意味で朱に交わる感じで静かに勉強していますよ。

ただ、「完全に私語禁止」にも、もちろんデメリットはあります。

「教室の雰囲気が盛り上がりに欠ける」ということです。

例えば、休憩時間は生徒たちとコミュニケーションを取る絶好の機会でもあります。

授業というある種の緊張状態から解放され、
生徒がワイワイ話している中に食い込んでいくことができますからね。

確かにそれも大切だし有効的だとは思いますが、
弊塾では一切そういった場面は存在しません。

やはり「一人で真面目に勉強している生徒さんを最優先」という大前提を守りたいなら、
それは両立できないと割り切っています。

また、教室の方針が決まりきっている(偏っている)ことで、
生徒募集という面では、ターゲット層を狭めているのもデメリットと言えるかもしれません。

感覚値ですが、従来なら見込める母数の半分以下という感じでしょうか。

反面、コアファンには支えられる構造であるとも言えますので、
あまり気にしていないのも事実です。

絶対的な正解はなく、自塾がどの方針かを選ぶかというだけの違いですね。

あとは「生徒さんからの紹介が少ない」というのはあるかもしれません。

おかげさまで定員は常に充足していますが、
内訳として生徒さんからの紹介はあまりないのが実情です。

生徒さんからすると「私語禁止でつまらないから友達は誘いたくない」というよりも、
「自分が静かな環境で勉強したいから、あまり友達をさそいたくない」
という感じなのかもしれませんね(あくまでも憶測ですが)。

一方で、保護者さまからのご紹介というのは頻繁にいただきますので、
やはりそこは正当にご評価いただけているのだと思います。

こうした背景から、弊塾では紹介キャンペーンを
「紹介から入会になった場合、紹介した側にもされた側にも、授業3コマプレゼント」
という設定にしています。

保護者さんからはすごく喜ばれるキャンペーンです(実質12,000円分)。

逆に生徒さんからすると、紹介して授業を増やされたらたまったものではありませんから、
それも紹介しない要因になっているのかもしれません(笑)。

繰り返しになりますが、この対応はあくまで私自身が
「おひとりさま」で頑張る生徒さんを応援したいから、こうしているだけです。

「ワイワイガヤガヤと楽しい雰囲気の中で、みんなのモチベを上げて〜」みたいなスタイルも
素晴らしいと思っています。

実際に私も、20代前半の頃の教室運営はそちらの方針でしたし。

まとめると、理念をもって貫き通せば、
それに共感してくださる方がジワジワと集まってきてくださるということです。

もちろん、理念を貫き通すのなら、何らかのトラブルや困難なことにぶち当たったり、
抱えなくてもいい苦労を抱えたりすることもあるでしょう。

しかし、それも含めて誠実に1つずつ対応していくことが、
教室の個性や雰囲気を作り出していくのではないでしょうか。

ですから、やるべきことは普遍です。

内部充実をしっかり図りつつ、不易流行の考えで、柔軟に変化していく部分と、
ブレない方針の部分をしっかり見極めて教室運営を行なっていくことが王道ですね。

あなたの教室はどういう雰囲気ですか?
また、その雰囲気はあなたの理想ですか?

改めて一度、振り返ってみられてはいかがでしょうか。

【今回のまとめ】
・運営方針からブレずに突き通すことで、固まる強さもある

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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