【Vol.604(2022.07.15)】相手が知らない前提で

この1ヶ月、弊社の有料会員さまの塾チラシを添削させていただいていました。

そこで気付いたことがありましたので、今回のテーマとしてシェアしてみようと思います!

さて、今回の添削の中で気になったのは

・チラシを見る人は自塾のことを知っている
・知識レベルを共有できている

という前提で、チラシを作っている傾向があるということです。

その塾さんをまったくを知らない人からすると
「これ、どういう意味??」と感じてしまう文言や内容が意外と多かったのです。

作る側が自塾のことを知っているのは当然ですから、
無意識にそうなってしまうのだと思いますが、これは気を付けたいところです。

例えば弊塾が「名物、フォレスト特訓!」と記載しても、「フォレスト特訓って何?」となります。
「名物って言われも、知らんがな」って話ですよね(笑)。

その場合は「定期テスト前、土・日勉強会」と表記する方が、イメージしやすいでしょう。

あとは、保護者さんや生徒さんにはよく分からないカタカナ表記や英語表記です。

例えば「アダプティブラーニング」とか、「ブレンディッドラーニング」とか、
「Udemy」とか「MOOC」とか、教育関係者なら知っていても、一般の方にはピンときません。

しかし、チラシに「弊塾はアダプティブラーニングを重視し~」とアピールしたところで、
いまいち伝わらないし、広告としても刺さりにくいのです。

したがって、まずは客観的な意識を持って、
相手は「自塾を知らない」「教育について詳しくない」という前提で、
チラシの内容や表現を作っていく必要があります。

そもそも、相手が「自塾を知っている」と思うのは驕りだと考えるくらいでちょうどよいです。

残念ながら、あなたの塾も私の塾も、
最初はほぼ99%の人が知らないし、興味もありません。

ですので、開業15年目を迎えた弊塾ですが、今でもHPやチラシは
弊塾のことをまったく知らない方へ向けた内容で発信するよう心がけています。

実は先日もこんなことがありました。

弊社が開校した通信制高校サポート校を検討されている保護者さんと面談した際、
学習塾が母体であるということを伝えたら、
普通に「そうなんですか?最近できた塾ですか?」と言われましたからね(笑)。

弊塾が1教場主義の個人塾だからというのもあるでしょうが、そんなもんなんですよ。

また、新規面談でも「相手は自塾を知らない」前提で話をすることが大切です。

「弊塾ではマスター講座が人気で、料金は……」と説明されても意味不明です。

マスター講座とはなんぞやと、丁寧にしっかり伝えるのが先でしょう。

何かの本で読んだのですが、人間は知らない言葉が二つ続くと、
理解することを諦めようとするそうです。

例えば、これを読んでみてください。

〜〜〜〜〜
DAO(Decentralized Autonomous Organization)は「分散型自律組織」で、
ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織のことです。
〜〜〜〜〜

いかがですか?

DAOとブロックチェーンが分からなければ、
そこから先は読んでもらえません(読んでも理解する意思がありません)。

やはりDAOとは何か、ブロックチェーンとは何かを
一つずつ丁寧に説明する必要があるのです。

ちなみに、以前にオンライン講演会をしていただいた、
税理士YouTuber・大河内薫先生やキングコング西野亮廣さんは、
このあたりが抜群にうまいです。

【大河内薫マネリテ戦略室(Voicy)】
https://voicy.jp/channel/660

【キンコン西野さんの朝礼(Voicy)】
https://voicy.jp/channel/941

できるかぎり、相手に分かるような言葉に噛み砕いて話をされますし、
初めて聞いた人でも理解できるように丁寧にご自身のことや活動に対して話されます。

ヘビーユーザーからすると「何度も聞いているよ」「知ってるよ」という内容なのですが、
それでも毎回話されるのがすごく印象に残っています。

有名人であるお二人であっても「相手は知らない」前提で話されるわけですから、
素人の私たちならなおそらそうしなくてはいけません。

コツは「相手の属性」を意識して、伝え方を変えることだと思います。

話す相手は大人なのか、子どもなのか。
同じ大人であっても50代なのか30代なのか。同じ子どもでも小学生なのか高校生なのか。
職業や男女の違いだってあるでしょう。

こうした相手の属性を細かく想定したものを「ペルソナ」と呼びますが、
広告技術においても、このペルソナ設定は非常に大事だと言われます。

相手の立場になって、「こういう言い方をしてもらえたら分かりやすい」という表現を
増やしていくことが大事ですね。

チラシやHPなどの広告物に限らず、普段のコミュニケーションや面談でも
「なかなか生徒さんや保護者さんに伝わらない・理解してもらえない」という場合は、
もしかするとあなたの伝え方に問題があるのかもしれません。

繰り返しになりますが、伝え方のポイントは「相手が知らない前提で伝える」ことです。
丁寧すぎるぐらいがちょうどいいと思います。

ぜひ一度、貴塾のチラシやHPの表現を再確認するとともに、
周りの人にもに協力してもらって「これで分かる?」とヒアリングしてください。

言ってみれば、これは思いやりです。

自分の言いたいことだけを一方的に伝えようとするから、
説明不足な表現になるのだとも言えます。

こうした姿勢は、授業にも出かねません。

私も思いっきり自戒を込めて今回の記事を書かせていただきました。

お互い、分かりやすく丁寧な表現を心がけていきたいですね。

【今回のまとめ】
・相手も自分と同じ知識レベルを持っていると思ってはダメ
・丁寧すぎるぐらいがベター

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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