【Vol.609(2022.08.03)】最低賃金引き上げとヒト・モノ・カネ

今回のメルマガ、すでに書く内容は決めていたのですが、
ある記事を見て、急遽テーマを変えることにしました。

その記事というのがこちら。

【最低賃金「30円以上」引き上げへ 過去最大、物価高騰を考慮】
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbd325965eadfd4fd1675ea59efe85dc4f5cda7a

【最低賃金、31円引き上げ961円に 物価高ふまえ過去最大の上げ幅】
https://news.yahoo.co.jp/articles/04270c0b892b66d8101bb55edf655d75c699f0af

物価高を背景に、最低賃金を上げるというニュースです。
みなさんもすでにご覧になられたかもしれませんが、どう思われましたか?

社員さんやアルバイトの賃金の値上げなどはすでに実施済みですか?
それともこれから考えておられますか?

私がこの記事を読んで感じたことは
「やっぱり経営者は『ヒト・モノ・カネ』の管理がすべてだ」ということです。

大切な仲間や家族を守るために頑張らねばいけません。

自塾の運営は、私の判断次第でいい方向にも悪い方向にも進むことを改めて痛感します。

そう考えると、「やるぞ!」と武者震いしてしまいますね(笑)。

実は、ちょうど先月から弊塾の学生講師やスタッフの基本給をアップしたところでした。

具体的にいうと、

・授業給(1コマ75分) 1,510円 → 1,560円(時給換算で1,208円→1,248円)
・事務給(時給) 928円 → 960円

です。

今年に入ってからの物価上昇は尋常ではありません。

あらゆるものが値上がりしており、
特に一人暮らしの大学生は生活が大変そうだと感じるものもありました。

例えばコンビニのお弁当も50〜100円値高くなりましたし、電気代も値上がりしています。
そこで大切な仲間を守るべく、私の判断でベースアップを行ったのです。

現生徒に向けた授業料の値上げは行っていませんので、
人件費だけがアップして利益を減らしている形ですから、痛くないはずはありません。

しかし、今後も物価上昇が止まらないようでしたら、
さらにベースアップせざるを得ないと覚悟をしています。

また、最低時給がアップすることで、求人にも大きな影響がでると考えます。

もともと最低賃金より高めの時給で募集していた企業も、
最低時給が引き上げられた分だけ時給をアップするところが多いはずです。

すると、こちらが賃金条件を変えない場合は、
周りの待遇条件が良くなっているように見えるので、
相対的に見て募集数が減る可能性が高いです。

したがって、必然的にこちら側も最低時給のアップ分くらいは上げることが必要になります。

当然、人件費率もアップしますが、
個別指導塾(というかほとんどの業種)で一番大切なのは「ヒト」ですから、
ここを安易に妥協するわけにもいきません。

当メルマガでもかねがねお伝えしており、自信を持って言えますが、
「ヒト」に妥協するとロクなことがありません。

求人に関しても、いろいろな工夫をして今まで以上にいい人材を手にすることが必要です。

それが時給面なのか、仕事内容なのか、他より目に付くような工夫をするのかなど、
まさに、経営者の判断が求められるところですね。

ちなみに弊塾の場合は、近くにある大手個別指導塾さんが
破格の時給(時給1,800円〜)を提示していますので、
同じ土俵に乗ってしまうと体力勝負で負けます。

そのぶん「やりがい」「就活支援」「楽しさ」などをアピールしたり、
ポスティングなどを強化したりして「少しでも目に留めてもらう」努力をしているところです。

次はモノ、すなわち授業に関するサービスです。

弊塾は1(講師):2(生徒さん)の個別指導塾ではありますが、
少しでも点数アップや結果につながるように、さまざまな講座を無料で行なっています。

例えば「土日無料勉強会」「計算講座」「英単語暗記講座」「英語本文暗唱講座」などです。

しかし今後、人件費の増加が経営を圧迫するレベルになるのであれば、
これらを有料にしたり、あるいは廃止したりしないといけなくなるかもしれません。

ただ、こういった付加価値的サービスは中小の塾にとって大きな武器です。

成績アップはもちろん、保護者さんの満足度アップにも繋がりやすい要素ですから、
今後も継続できる仕組みをつくっていきたいと考えています。

もちろん、メインコンテンツである個別指導に関しても、常に質を高める努力が必要です。

そうなるとやはり優秀な学生講師が必要ですから、
「モノ」を充実させるためにも、「ヒト」に対してケチってはいけないということですね。

最後にカネです。

お金は、会社が存続し続けるための体力です。
お金がないと運営できなくなるのは当然ですし、モノやヒトに対する投資ができなくなります。

余裕ある資金繰りができれば、心の余裕も生みます。

冒頭のニュースにも絡みますが、大切な学生講師やスタッフに、
満足してもらえる給与を払い続けるのは経営者の務め。

頑張ればちゃんと昇給するとか、やった分だけ評価されるとか、
そういう仕組みを作ることができれば
講師のモチベーションアップにもつながる好循環を生み出します。

一方で逆の場合だと、自転車操業で支払う給与もカツカツです。
心に余裕がないと、感謝の気持ちを忘れがちになってしまうかもしれません。

お金はあくまでも道具にすぎませんが、その道具をしっかりと活用していきたいところですね。

つまり、お金を集めるのが経営者の仕事でもあります。

薄利多売の形で生徒数をぐいぐい伸ばしていくのか、
月謝単価を上げる形で生徒数を抑え質を高めていくのか、
あるいは現生徒への値上げなど、いろいろな方法があると思います。

そこは経営者の判断にはなりますが、
最終的には手元にお金がある状態を作っておかなければなりません。

恥ずかしながら、私も細かなキャッシュフローについては
結構どんぶり勘定な部分もあったので反省しきりです……

今回は、ヒト・モノ・カネに関してお伝えしましたが、個別指導塾の場合

・良い人財を採用・育成

・満足度の高い授業を展開

・単価アップ

・講師スタッフの給与アップ

・従業員のモチベーションアップ

といった形で、シンプルに好循環を作り出すことができるはずです。

みんながハッピーになれる形を作れるように、
塾長やオーナーは「ヒト・モノ・カネ」にとことんこだわっていきたいですね。

「最低でも物価上昇分は給与アップできる塾」であるために、
お互いできることをしっかりとやっていきましょう!

【今回のまとめ】
・物価上昇(賃金上昇)でも困らない仕組みを作る

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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