【Vol.615(2022.08.24)】高等部のあり方を考える

先日、下記の記事が読んで色々と考えされられました。

【大学入試、偏差値時代終幕の足音 推薦・総合型が過半に】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE243J00U2A720C2000000/
※無料会員になれば全文読めます(月10本まで限定記事が読めますので、オススメです)。

簡単にまとめると、学校推薦型選抜と総合型選抜の合計が50%を超え、
第1志望に入れた受験生は68%(前年より14ポイント増)にものぼり、
大学選びの軸が偏差値しかない時代ではなくなり、
年内入試が主流になれば一般入試の偏差値は意味を失うといった内容です。

みなさんは、どう思われますか。

まえがきでご紹介した山内太地先生もTwitterで
「大学受験は『年内に第1志望を1校だけ受けて必ず受かるもの』になりつつあります」
と述べておられます。

私は、弊塾を含めて高等部を持つ塾は、かなり真剣に考えていくべき潮流だと考えています。

もちろん、大手塾さんや予備校さんなどは、すでにこの状況を予想した上で、
色々と戦略を立てておられるはずです。

みなさんはいかがでしょうか。

今までの大学受験は一般入試で主流でしたが、実は私自身は推薦入学組です。
公募推薦で近畿大学に合格し、そのまま進学しました。

ただ、推薦入試を選んだ理由はそんなに褒められたものではありません。

当時、進路指導の先生も「公募推薦って何?」みたいな状況で、
受験者が少なく、競争率も低かった記憶があります。

「公募推薦て、めっちゃ甘くない!?」と気付いてしまったのです(笑)

しかし、公募推薦も年々受験者数が増え、
また2010年ごろからAO入試も増え出したことで、
一般入試(現在は一般選抜)を受験する比率がどんどん減っていきました。

開業して14年たちますが、弊塾の生徒たちにもその傾向が見て取れます。

ここで大事になってくるのは、キャッシュフローの見立てです。

推薦系入試で進路が決まり、以降の大学受験対策が不要になるということは、
生徒さんたちが高3の2月や3月まで通塾してくれるという前提で計算するのは
非常にハイリスクになります。

塾の場合、月謝制にしているところが多いでしょうしね。

以前は、指定校推薦組を除き、ほぼ全員が2~3月まで在籍してくれましたが、
今はもうそうはいかないということです。

ただ逆に言えば、総合型選抜の比率が増えてきたということは
そのニーズがどんどん増えてきたということでもあります。

では、実際に自塾で「総合型(AO)対策」を希望する生徒さんがいた場合、
みなさんはどのように対応されていますか?

私は、大きく分けて3つの選択肢があると思います。

1.自塾で対応する
2.自塾では対応せず、学校に任せるor専門塾などに外注する
3.大学のレベルに応じて、自塾で対応するか外注するかを決める

弊塾での対応は「3」です。

なぜなら、総合型選抜の対策は非常に労力がかかるからです。

これについては、以前にも当メルマガで触れておりますのでよろしければご覧ください。

【総合型選抜(旧AO入試)対策を自塾でどこまで行うか】
https://r-partners.jp/339/

上記の過去記事でも解説していますが、本気で総合型選抜(旧AO入試)対策をやると、
それ以外の部分で塾運営に相当な影響が出てきます。

とにかく、一人の生徒さんにかなりの時間と手間を取られてしまうのです。

マンパワー的な部分が大きいのですので、人的補強さえうまくいくのであれば、
自塾内で対応し、総合型選抜対策を強みとして全面的に押し出すことも可能でしょう。

やるのであれば「AO専門塾」など、特化した形が最適だと思います。

AOがイロモノ扱いされていた10年ぐらい前から
専門塾でやられている方もいらっしゃいますが、
先見の明があって本当にすごいなと思います。

10年前は、認知や生徒さん集めでも大変だったと思います。

一方で、少しでも長期にわたって通塾してもらうスタイルを重視するなら、
「国公立大学を目指す専門塾」というのもアリかもしれません。

国公立大学は、私立大学に比べると学校推薦型選抜や総合型選抜比率が低く、
一般選抜で「共通テスト→2次試験」という流れがメインとなる傾向は
しばらく続くと思うからです(それでも、推薦での入学枠を増やしてきていますが)。

また、国公立を第1志望を目指す生徒さんは、
滑り止めの私立大学も一般選抜で受験する場合が多いと考えられますので、
相応のニーズはあるでしょう。

しかし、冒頭でご紹介した記事では、そもそも
「偏差値という制度がなくなる(意味をなさなくなる)かもしれない」
といった見立てもされていました。

もしそうなったら、一般的な塾で大学受験を目指す場合、何を指導するのかという話です。

塾の根本的な存在意義である
「教科学力の向上」「偏差値アップ」というニーズがなくなってしまえば、
従来の塾のカタチは淘汰されていくでしょう。

そうなった場合、みなさんの塾ではどう対応されますか?

高3になると、さまざまな選択肢が生まれる流れになりそうです。

だからこそ、高1・高2、いや中学生の時から通塾してもらい、
あらゆる選抜方式に対応できる力をサポートしておくことが一層大切なのかもしれません。

単に高等部を作る・運用するのではなく、
変わりゆく大学入試に対応できる高等部を作っていきましょう。

私もがんばります。

【今回のまとめ】
・高等部があるだけでは、この先は厳しい
・時代にマッチした高等部作りが大切

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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