【Vol.616(2022.08.26)】惰性や甘えにご注意!

以前にこんなことがありました。

14年前に自塾を新規開校する時からお世話になっていた業者さんなのですが、
だんだんと対応が雑になってきていたのです。

年々レスポンスが遅くなったり、メールを送っても返信がなく、
再連絡したら「忘れていました」と連絡があったり。

挙げ句の果てには、自分の都合のいい時だけやたら連絡してくる始末で……

お世話になったことへの感謝ももちろんありましたが、これでは困ります。
キリのいいタイミングで取引をやめ、信頼できる他の業者さんに変えさせてもらいました。

完全に、長い付き合いにあぐらをかいた、惰性からくる怠慢だったように思います。
「フォレストはこれくらい大丈夫だろう」という油断と慢心があったのかもしれません。

他にも、別の業者さんで似たようなケースがあります。

その業者さんとは10年ぐらいのお付き合いで、
以前はびっくりするぐらいレスポンスが早く、私も気持ちよくやりとりできていました。

しかし、同じように対応の遅れや雑さが目立つようになったのです。

あまりにひどいので、「最近、ちょっと対応が遅くなっていませんか」と直球で聞いたところ、
「実は退職者が複数名出てしまって、人員が減ったんです……」とのこと。

もしそれが本当なら同情の余地はありますが、こちらも困っているのは事実なので、
同じく取引をやめてしまいました。

これはたまたま私が発注者側の立場にあった事例ですが、
「人の振り見て我が振り直せ」です。

私たち塾側も、受注者としての立場を意識し、気をつけなければいけません。

例えば、通塾歴が長い生徒さんに対して
「付き合いも長いから、今日は普段と違う講師を充てても大丈夫かな」
という対応をしてしまったことってありませんか?

恥ずかしながら、私はあります。

したがって、偉そうなことは言えませんが、自戒を込める意味でも、
反省を深める意味でもこの場を借りてお伝えできたらと思います。

生徒さんとの付き合いの長さに甘えて新規入塾の生徒さんを優先したり、
スケジュール上で都合が悪いことは、通塾歴の長い生徒さんを中心に調整したり。

先ほどは業者さんのことを悪く表現しましたが、根底にある心理は同じですよね。

この生徒さん(ご家庭)なら許してもらえるだろうとか、
信頼関係ができているから大丈夫だろうとか、
いい人だからクレームにはならないだろうとか。

確かに、信頼関係があるからこその打診や依頼であるなら、
快く引き受けてもらえるケースも多いでしょう。

しかし、それに甘えて何度も繰り返していると、満足度の低下につながります。

最悪の場合は退塾です。

それで、長年にわたって通塾していた生徒さんが去ってしまうダメージは計り知れません。
そもそもこちらの対応が問題なので、なにも反論することもできませんが。

いえ、本質は、クレームになるから良いとか悪いとかいう話でも、
退塾に繋がるとか繋がらないとかいう話ではありません。

だって、その理屈で言えば、クレームや退塾に繋がらないために、
つまり「自分が損をしないために」誠実にしましょうと言っているのと同じなのですから。

再び自戒を込めて申しますが、自分のメリット・デメリットなど関係ありません。

そもそもの「人」への向き合い方、性根の問題です。

しかし、どうしても誰かに何かを妥協していただく必要が発生することもあるでしょう。

それならば、せめてそのことに対する罪悪感を常に持ち、
どうしてもお願いするなら1年に1回だけにするとか、
ラインを定めるように心がけたいものです。

授業に関しても、「惰性」は存在します。

例えば、私たちからすると「また因数分解か」と思っても、
生徒さんにとっては初めての因数分解です。

そこに油断や怠慢が生まれます。
授業に対する工夫や研鑽も失われているかもしれませんね。

そんな気持ちでベテランが指導するくらいなら、
講師になりたての大学生が担当するほうが、はるかにマシなのかもしれません。

生徒さんたちや、その保護者さんがいい人であればあるほど、
ついつい甘えてしまいがちです。

しかし、そこはメリハリとケジメが大切です。

相手がいい人だから、付き合いが長いから甘えるというのではなく、
いい人だからこそ、付き合いが長いからこそ誠実に。
(もちろん、そうでなければ雑でもいいという意味ではありませんよ!)

一期一会。一事が万事。親しき中にも礼儀あり。

人との関係づくりは、毎回が真剣勝負という意識を持って臨んでいきたいですね。

【今回のまとめ】
・惰性や甘えが出ていないか、自分自身を振り返る
・自分にデメリットがあるから誠実にするのではない

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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