オンライン授業やオンライン自習など、
ネット回線を活用した教育もすっかり浸透してきましたね。
ほんの数年前まで、「そんなもので学習や教育が成り立つはずがない」
「そんなものは授業じゃない」なって声が主流だったことを考えると、
進化のスピードはとてつもなく早いと感じます。
たとえ古いやり方であっても、何かにこだわるのは素敵なことだと思いますが、
良し悪しや実際に自塾がそれを取り入れるかは別として、
いま、教育界でどんな新しい取り組みが出てきているのか知っておくことは
決して無駄にはならないはずです。
そう思っていた矢先「ここまで来たか!」と思ったのがこちらのニュース。
<「仮想空間の学校」で不登校支援へ 熊本市教委が実証事業、タブレット端末で〝登校〟>
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ffc33a1bbfc27ec278e7b9a6b278218cedca3c7
不登校の児童・生徒を対象に、
インターネット上の仮想空間、いわゆる“メタバース”を活用して
バーチャル登校を行おうという取り組みです。
メタバース内の教室では、自分のニックネームやアイコンを設定して、
仮想空間での学校生活を送ります。
“教室”ではオンライン授業を受けることはもちろん、
チャットやビデオ通話で先生・友達とコミュニケーションを取ることも可能です。
熊本市の取り組みでは、ひとまず2次元(2D)の教室ですが、
N高やS高など、先駆的に取り入れている学校では、すでに3次元も実装されているそう。
生徒たちは、専用ゴーグルを装着して授業を受けます。
バーチャルリアリティの世界で、本当に教室にいるかのような感覚で学べるだけでなく、
例えば地学の授業で、目の前にCGのアンモナイトを出現させることができ、
さらにそれを自由に動かして観察することもできるなど、本当にすごい技術です。
いわゆるオンライン授業と何が違うのかと言えば、こうした「リアリティ」でしょう。
通常のオンライン授業では、画面に参加者の顔が並んでいるだけですが、
メタバースの世界ではより現実に近づけているため、
不登校の子どもたちがソフトランディングで集団に馴染んでいくにも効果的なようです。
こういう事例を見ると、「一部の先進的な学校だけの特別な話」と思う人もいるでしょう。
確かにそうかもしれませんが、先ほども申しましたように、
現在の教育をとりまく技術革新がどこまで進んでいるのか知っておくことは大切です。
それに、オンライン授業と同様、ついこの前まで「異端」でしかなかったものが、
わずか数年で当たり前になってしまう社会です。
メタバース登校も、あっという間に「普通」になってしまうかもしれません。
そうなると「学校ができるのに、塾ではまだ普通のオンライン授業しかできないの?」と
時代遅れ扱いされる可能性だってあります。
そう思って調べてみたら、すでにあるんですね、「メタバース塾」が。
山梨の甲斐ゼミナールさんです。
生徒の秘められた主体性を引き出すのに一役買っているそうで、
いやはや、早いところは本当に対応が早いなと感服しています。
メタバースを取り入れるかどうかは別として、
弊塾も時代に取り残されないようにしなくては……
一方で、こうした最新技術を取り入れるとき気を付けたいのが、
「流行っているからやる」「話題性がありそうだからやる」という意識に陥らないことでしょう。
生徒さんたちに届けてあげたい教育環境や、現状では対応が難しい問題を、
解決するためにそれらを用いるのです。
学校でも、GIGAスクール構想に伴って一人1台のタブレット環境が整いつつあります。
しかし、うまく活用できている学校とそうでない学校があるようです。
うまくいっている学校は、やはり目的意識や問題解決が先にあってICTを使っていますが、
そうでない学校は「国の予算でタブレットが回ってきたぞ。さあ、これで何をしよう」と
ツールやデバイスありきで考えてしまうのです。
それで、結局もてあましてしまい、宝の持ち腐れになるわけですね。
今回のメタバース教室も「不登校の子どもたちが学びやすくなるように」という
問題解決あっての導入です。
塾で取り入れるにしても、「何のために」は忘れないようにしなければいけません。
個人的には、授業にせよみなさんとのコミュニケーションにせよ、
リアルに対面で行えるのが1番だというのが私の考えです。
その価値観は今後も変わらないでしょうが、対面が1番だと思うことと、
他の手法(今回でいえばメタバース)を全否定することは違います。
0か100かではなく、適宜取り入れていく姿勢は大事ではないでしょうか。
【今回のまとめ】
・新しいものをキャッチアップする意識を
・手段ありきではなく、目的ありきの導入を