【Vol.635(2022.11.02)個人塾のメリット、活かし切れていますか?

今回は個人塾の運営メリットでもある「小回りが効く」というテーマでお伝えします。
「塾は局地戦である」ということを踏まえてお読みいただけると嬉しいです。

さて、私自身、独立開業してすでに15年も個人塾をやらせていただけています。

また独立前は、大手塾(2塾)さんで7年勤めていましたが、
今回、このテーマを書こうと思ったきっかけがあります。

それは弊塾から30メートルほど離れた大手塾さんの入り口に
「10月30日(日)〜11月3日(木)まで臨時休校です」の張り紙があったからです。

おそらく社員総会か何かで集まるために休校にしているんだと思います。
私も大手塾さんに勤めていたころには参加していました。

なぜこの張り紙が引っかかったかと言うと、
弊塾周辺の中学校の実力テスト(中3)が、今日2日(水)や4日(金)にあるからなんです。

現場の社員さんたちの気持ちを思うと、内申点にも関わる実力テスト前に、
教室を開校できないのは辛いところでしょう。

「総会に出席するぐらいなら、教室を開けたい」と思っておられる社員さんも
いらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、大手になればなるほど、社員みんなが集まる機会を作ることは大切だと思います。

総会で塾の理念を共有したり、各教室での取り組みを表彰したり、
みんなで士気を高めてさらに塾を発展させていこうという考えには共感できます。

しかし、これが大手さんの難しいところ。

すべての教室に都合のいいスケジュールで総会の日時を設定することは不可能でしょう。

一方で弊塾は、その期間も休まず実力テスト対策を行いますし、
11月中の教室は常に開いていて、好きなだけ勉強できる空間となっています。

私にとっては、社員総会より目の前の生徒さんのテスト対策の方が大事だからです。

身の上話のようになって恐縮ですが、私が勤めていた大手塾さんでは当時、
冬期休校初日の12月29日に忘年会をすることになっていました。

しかし、私が担当していた教室では、高3生が20〜30人ほどいたので、
「忘年会するぐらいだったら、教室を開校する。高3生を優先したい」と
上司に直談判したこともありました。

本当にややこしくて、使いにくかった社員だと思います(笑)。

でも、目の前の生徒さんを1番に考えたいじゃないですか。

結局、私は忘年会を欠席し、教室を開校しました。

今思えば、当時の上司にも手間をかけさせ本当に申し訳なかったですが、
会社員として大手塾さんに勤務している以上、自分の想いを形にできないと判断し、
この年度で退職し独立した経緯があります。

「たいていの経営者は社会不適合者」という話をよく聞きますが、
私もそうなんだろうなと思います(笑)。

今では、弊塾の冬期休校は毎年12月31日~1月3日となっていますが、
共通テスト、私大入試を間近に控えている高3生がいますので、
完全休校は実質上1月1日のみです。

こういうことも、個人塾だからこそできること。

私たちの仕事は顧客に満足してもらってナンボですから、
プライベートの時間を極限まで削って生徒さんのために充てるのは、
個人塾を経営しているのであれば当然といえます。

これを大手さんでやろうとしても、
コンプライアンスの問題が出てきますのでなかなか実施に踏み切れません。

ただでさえ最近は、塾業界のブラックな労働環境が強く糾弾されますし、
社員にそこまでさせるわけにはいかないのです。

それは大手さんだろうと個人塾だろうと一緒ですが、
でも、経営者自身ならできますよね。

少しくらい休みたいという気持ちは分かりますし、労働と休暇のバランスは大事ですが、
厳しい言い方をすれば、できないのであればそこまでだということです。

年末年始の開校だけではありません。
私の盟友で、定期テスト1週間前から早朝特訓をされている先生もいます。

生徒さんに1点でも多く点数アップしてもらいたい、頑張って欲しいという思いで、
自分の時間やご家族との時間を削って朝から教室を開けておられるわけです。

この行動・思いと行動の成果として、
生徒さんが入りきらないぐらい評判のいい教室を作っておられます。

また、テスト前だったら土・日にテスト対策会を行う、
テスト前は理・社特訓を組み込む、英語音読講座を取り入れるなど、
やろうと思えば何だってできます。

あとは、小さなイベントであればすぐに実行することもできますよ。

弊塾では、12月に開催されるサッカーのワールドカップの
「優勝国を当てよう」というイベントを行ったり、
年末の風物詩でもある「流行語大賞を当てよう」なんてイベントも行っています。

いま、個人塾を経営していらっしゃるみなさんは、
誰もが自分の理想と考える塾(=自分が通いたいと思える塾)をカタチにしたいと
独立をしたはずだと思うんです。

もし、日々の中でそのときの情熱を忘れてしまっている部分があるのだとしたら、
ぜひもう1度思い出してもらえたらと思います。

経営者になるということは、いいこともたくさんありますが、
大変なこと・辛いこともありますよね。

しかし、せっかく個人塾という自由度の高い環境で教室運営できているわけですから、
「この講座、役に立つかも」「あのイベント使って企画してみよう」など
やりたいことをどんどん形にしてみませんか?

大手塾さんで働いている社員さんからすると
「いいなー、自分もやりたい。でもできない」と羨ましく見えるはずです。

個人塾の利点を活かして、じゃんじゃん小回りを効かせて、
目の前の生徒さんに向き合っていきましょう。

それが積み重なって、紹介などの問い合わせ増につながるわけですから!
塾長次第で良くも悪くもなる状況、わくわくしませんか?

とはいえ、頑張りすぎて体調を崩したり、倒れてしまっては元も子もありません。
その辺りのバランスはしっかり考えてくださいね。

また違う機会に今度は「個人塾のデメリット」をテーマにメルマガを書いてみたいと思います。

【今回のまとめ】
・個人塾は小回りの良さが最大のメリット
・塾は局地戦。やり方次第で個人塾でも大手塾と対等に勝負できる!

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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