【Vol.637(2022.11.09)】中高生の興味・関心を知る時間を作る

10月に開催した「日本の大学全部行った男」山内太地先生の
塾関係者向けオンライン講演会で、
山内先生が最後に話されていた内容が印象的でした。

簡単にまとめると

・塾の先生は忙しすぎる
・自身の家庭を犠牲にしてはダメ
・塾の先生は自分の子どもの面倒を見ずに相手の子の面倒ばかりをみる
・ヒマになることが大切
・ヒマな時間で大学の情報を手に入れてほしい
・そうすれば、生徒本人が「行ける大学」ではなく「行きたい大学」に行ける
・進学実績が出て、生き残れる塾になる
・そのために、ヒマな時間をつくり、大学へ自ら行ったり、教授などと繋がる
・働き方改革を進めて、長時間労働・休日出勤をやめる
・プライベートで自分が情報を得ることができる人脈つくりを
・自己研鑽が大切!

という内容でした。

とても強く共感します。
特に「ヒマな時間を持つ」という部分です。

自己研鑽のためにも、ヒマ(自由)な時間をしっかり持つようにと言われています。
仕事のキャパに余白を残しなさいということですね。

おっしゃる通りで耳が痛いです。

正直なところ、私自身も日常業務の多忙さにかまけて、
近隣にある大学のオープンキャンパスもここ10年以上まったく行けていません。

自分の目で見ずに、経験値やパンフレットの情報だけで
生徒さんに進路アドバイスをしていたのです。

高校生比率が高い塾として、これではいけません。
反省しきりです……

また私たちは、流行を含め、中高生が興味・関心を持つテーマなど、
大学入試以外の情報にも知見を広げておく必要があると思います。

イマドキの生徒さんと共通の話題を持てれば、
距離も縮まりコミュニケーション強化にも繋がって、
「話しやすい先生だな」「先生と話すために塾へ行きたい」などのエンゲージメントとなり、
退塾防止や友達紹介にも派生しやすいのではないでしょうか。

最近の話題だと、ジャニーズの人気グループ「King & Prince」の5人のうち、
3人が脱退することがニュースになっていますね。

東洋経済オンライン
キンプリ3人退所、事務所と彼らの埋められない溝 11月4日、King & Princeのメンバーのうち、岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太の3人が来年5月22日をもってグループを脱退、また平野と神宮寺は同日、岸は来秋にジャニーズ事務所...

ちなみに脱退する3人の名前、分かりますか(残る2人も)?

芸能ニュースに興味がない方であれば、
(個人的には)「そんなのどうでもいい!」と思われるかもしれませんが、
こうした情報をせめて「知っておく」ことは大事だと思います。

完全に理解していなくても構いません。

「キンプリ、3人脱退するみたいだね。どうしてなの?」と
教えを請うスタンスでもいいと思います。
キンプリの大ファンであれば、饒舌に話し続けてくれるでしょうし、
その生徒さんとの心の距離はグッと縮まるでしょう。

現代の中高生にとって、アイドルではSMAPや木村拓哉さんではないのです。

岐阜で大賑わいになった木村拓哉さん奮する信長のイベント、
みなさんもネットやニュースで見られたかもしれませんが、
インタビューを受けていた参加者さんは、保護者さん世代ばかりでしたしね。

そういうアップデートも行っておく必要があるわけです。

もちろん、保護者さんとコミュニケーション取る上で、
その世代の話題もしっかり把握しておく必要もありますよ!

私自身も、できる限り中・高生の興味関心を学ぼうと、時間を作るようにしています。

その一つがNintendo Switchです。

最近は平日の午前中を使って、Switchのソフト「スプラトゥーン3」や
「大乱闘スマッシュブラザース」をプレイしています。

スーファミ世代ですから、異常に増えた(コントローラーの)ボタン数には
四苦八苦していますが、試行錯誤しながらやりこんでいます。

子どものころのように、ゲームにそこまでの時間を費やすことは難しいですが、
最低限の知識や情報、操作方法を得ようとしています。

その上で生徒さんには攻略法を教えてもらうなど、話題作りが可能になりました。

あとはTikTokや人気YouTuberの動画を見ることも心がけています。

見ていると、だんだんと演者の面白さが分かってきて、
つい夢中になり、1~2時間あっという間に過ぎてしまいます。

このあたりは、中高生と同じレベルですね(笑)。

確かに、中高生の生徒さんからすれば、私たちは父親や母親の同年代の
おじさんやおばさんであることが多いでしょう。

もしかしたら、それ以上の年の差があるかもしれませんし、
基本的に「話す内容が合わない」と思っているのが一般的です。

しかしそこで「この先生、話せるかも」という印象は、
いい意味で生徒さんの先入観を裏切ります。

彼らが好きなものを知ろう・分かろうという態度だけでも、
生徒さんも心を開いてくれるはずですよ。

もちろんそのためにも「ヒマな時間」が必要なのですが、
特に個人塾の塾長は、1日のルーティンが良くも悪くも決まっていて、
ギチギチに予定を詰め込んだ同じ繰り返しの毎日になりがちです。

「昼間から夕方までは1人で勤務、夕方以降は授業」みたいなスケジュールです。

さらに土・日はテスト前勉強会や特訓を行って、
休む暇もまったくない日々を送っておられるかもしれません。

しかし、もしかしたらそれは「惰性」かもしれませんよ。
ずっとそうしてきたから、そのスケジュールでないと仕事が回らないと
思い込んでいるだけかもしれません。

1日の流れを急に変えることはできないかもしれませんが、
せめてルーティンの中に自己研鑽の(知見を広げる)時間を取り入れてみたいところです。

意識して「ヒマになる時間を作る」ことを大切にしたいですね。

例えば、出社前の平日午前中だけなら、少しは時間が作れそうではないですか?

また、土・日の勉強会などは、少しずつ時間をかけて
自分以外の人でもできる仕組みを作ることもいいと思います。

私は「心身に負担になりすぎない限り、働き続けましょう」的なことをよく言います。
それは、生徒さんが興味を持つことを学ぶ時間に対しても同様です。

極端な話をすれば、塾に勤めている社員さんは、
上司に「生徒さんとコミュニケーションを図ることを目的に、
業務時間内に1日20分Switchをしてもいいですか」や
「キンプリが歌っている動画を見てもいいですか」と提案してもいいと思います。

これも十分な業務であり、自己研鑽だと言えます。

もちろん、その成果として退塾数が昨年より減ったりとか紹介数が増えたとか、
効果を報告する必要はありますが。

いかがでしたでしょうか。

私たちが中高生のころ「大人って本当に今が何も分かってないな」と
思っていませんでしたか?

今は、その大人が私たちとなっています。

学習塾という仕事に携わっている以上、中高生と関わるわけですから、
中高生とコミュニケーションを図るための努力は欠かせません。

その時間をしっかり作っていくことが大切ですし、
「仕事が忙しくてそんな時間はない」という方こそ、
「これは仕事の一環である」という意識で臨んでみてはいかがでしょうか。

【今回のまとめ】
・ヒマな(動ける)時間を意図的に作る
・中・高生と気持ちが通じれば、コミュニケーション向上に

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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