【Vol.643(2022.11.30)】中3継続率をアップするために必要なこと(リバイバル)

今回は、過去記事のリバイバルとして
「中3→高1の継続通塾率」をアップするというテーマでお届けしたいと思います。

時期的にはそろそろ誰もが意識しはじめるトピックではないでしょうか。

3年前の記事を一部改編した内容になりますが、伝えたいことはほぼ変わっていません。
それぐらい普遍的なものだとも言えます。

ご参考にしていただければ幸いです!

さて、ここ数年、中学生メインだった塾さんが
高等部を設立するケースがブームになっているようです。

その流れから「中3生の継続率アップ」「高等部のつくりかた」というテーマの
セミナーも多く開催されています。

弊社でも、現在のようにブームになる前から
これらをテーマにしたセミナーやメルマガ記事を頻繁にお届けしているのは、
それだけ重視してきた課題だからこそです。

例えば中3生が5人継続してくれれば、
新たに5人入会していただく労力が不要になるわけですから、
教室運営的にもとても助かりますしね。

ただ、中3継続は決して難しいことではありません。

ある程度長期的な視点で取り組む必要はありますが、
やることをしっかりやれば、高い継続率はきちんと実現できます。

弊社セミナーや研修に参加された方からも
「継続率が倍増した」「80%になった」など嬉しい報告をいただいていますよ。

当初25%だった継続率が、3年かけて55%にアップしている塾さんもあります。

しかし一方で、「継続率1~2割のまま」、「全員3月で退塾する」と
苦戦なさっている塾さんもあるようです。

私はこの原因には、三つの傾向があるように感じています。

1.『非受験生の退塾数が多い』
2.『中3生を継続させることが目的となっていて、その先が不透明』
3.『社員や講師に、高校生指導や大学入試の知識・意識がない』

ということです。

一つずつ解説してみますね。

1.『非受験生の退塾数が多い』

みなさんの塾では非受験生(中3・高3以外)の年間退塾数は何名ぐらいでしょうか。
また、どのくらいであれば退塾があってもセーフラインとお考えでしょうか。

私の目安としては、こんな感じです。

<よい教室>非受験生の生徒数(年間平均)×0.05人未満
<ボーダー>非受験生の生徒数(年間平均)×0.1人前後
<危険水域>非受験生の生徒数(年間平均)×0.15人以上

例えば弊塾の場合、非受験生の生徒数(年間平均)は50人ですので、
50×0.1=5人がボーダーの目安となります。

1度あなたの教室でも、この目安に基づいて数値を計算してみてください。

この数と中3継続率は不思議なほど相関性を見せており、
非受験生の退塾が少ないほど中3継続率は高く、
多いほど中3継続率が低くなる傾向があります。

特に「危険水域」の塾さんの場合、中3継続率は軒並み低いはずです。

原因として考えられるのは、受験生だから、非受験生だからという以前に
結局、内部充実が図れておらず、顧客ばなれが進んでいるということでしょう。

そんな教室では、中3生の継続など言わずもがなです。

内部充実の定義や手法はさまざまかと思いますが、
生徒さんや保護者さんに一定ラインの満足感があれば、多くの退塾は発生しません。

不満や問題があるからこそ、退塾者が出るわけですからね。

その不満の原因は、成績が上がらない、教室がうるさい、
社員とのコミュニケーションがはかれない、社員の印象が悪いなど、
さまざまな要素が考えられます。

つまり、塾そのものの質が固まっていない状況で、
中3継続率をアップさせようとしても意味がないということです。

小手先のテクニックを使って目先の結果(継続率)が出たとしても、
それは塾としての実力や魅力に起因しない一過性のものです。

厳しい言い方になりますが、「たまたま」なんですよね……

たぶん、生徒さんたちが高2に上がるまでに
たくさんの退塾がでているのではないでしょうか。

2.『中3生を継続させることが目的となっていて、その先が不透明』

「中学生だけだと生徒数がショートしていくので、タテ展開として高校生を集める!」
という発想も、残念ながら継続率はなかなか上がりません。

理由はいたってシンプル。

発想が自己中心的になり、目的と手段をはき違えているからです。

売上キープの資源として中3生継続率を意識すると、
結局は「継続させること」が目的化してしまいます。

私は、継続は「生徒さんの高校生活をサポートしたい」「大学入試も力になりたい」など、
生徒さんのための発想でなければいけないと思います。

理念や理想論という意味でも大事な考え方であるのは事実ですが、
自分のことを最優先する利己性は、私たちが思う以上に、
保護者さんには簡単に見抜かれているものですよ。

「売上のために辞めさせたくないのが見え見えだな、この塾は」と。

ですから個人的には、「これからは高等部の時代だ!」なんて
安易な風潮があまり好きではありません。

もし中学生の指導が得意なのであれば、
本来ならそこに特化してたくさんの中学生に通ってもらえば十分なのですが、
「中学生がショートしてきて、経営が危ないから高等部」という発想は危険です。

本業がうまくいかないから中途半端に副業に手を出して、
結局共倒れになるパターンです。

そもそも、そんな発想で生徒さんに接するなんて、
せっかく継続してくれた高校生に対して失礼すぎますよね。

プログラミング教室や英会話教室なども同様です。

単に生徒集めや継続のコマとしてそれを考えるようではダメですよ!

3.『社員や講師の高校生指導や大学入試の知識・意識がない』

高等部という看板を掲げているのに
悲しいかな、大学入試の知識やノウハウがない塾さんも散見されます。

「大学入試の知識がないけれども、とりあえず中3生を継続させておく」

というのでは、もはや詐欺に近いです。

先日、弊社主催のセミナーでもお話しいただいた、
日本の大学全部行った男・山内太地先生にフルボッコされますよ(笑)。

プロとしてのまともなアドバイスもできないのに
ちゃっかり授業料だけいただくわけですからね。

保護者さんは、私たちが持つプロの知識や技術への対価として、
安くない月謝を払っていることを忘れてはいけません。

もし、それでも高等部を作ってしっかり頑張ろうと思うなら、
大学入試のノウハウや知識を取り入れて、
「他塾なんかにいったら、この子が不幸になる。自塾がしっかり3年間見届ける!」
と言い切れるぐらいの覚悟で勉強をしましょう。

ポイントは、生徒さんが進路指導で悩んだ際に、
「高校の進路指導の先生より信頼され、相談される先生になる」ことですかね。

書籍はもちろん、YouTubeでも大学入試の情報はたくさん手に入れることができます。

手段はあるのですから、やるべきことをやってから高校生を受け入れてみませんか?

ちなみに私の今の愛読書は「情報Ⅰの教科書」です(笑)

今年の高1から必修科目になりましたし、2年後の共通テストでも出題されることから、
個人的な興味もあって勉強中です。

いかがでしたでしょうか。

中3継続率をアップするのであれば、
自塾の本質からしっかり見直しをする必要があります。

「高1継続、4月無料キャンペーン」なんてやったところで、焼け石に水ですよ。

今からでもまだ間に合う部分はたくさんあるはずです。

今年度の継続が振るわなくても、来年度の1年間をかけて勉強すれば
知識を増やすことは可能です。

教室内部充実の徹底や大学入試の知識を取り入れ、
生徒さんから「高校になってもお世話になりたいです」と
言ってもらえるような教室を作っていきましょう。

【今回のまとめ】
・中3継続をアップするには、教室全体の改善が必要
・誰のための継続なのか、本質に立ち返る

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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