【Vol.682(2023.04.14)】新人学生講師の研修(前編)

弊塾では、ありがたいことにこの3~4月で、17件の講師応募がありました。

現在は、その中から厳選した2名を採用し、研修の真っ最中です。
おそらく、みなさんの教室でも新人研修の時期だと思います。

そこで今回は、前編・後編と2回に分けて、
弊塾での講師研修の取り組みや内容などをシェアしたいと思います!

少しでも参考になる部分があれば幸いです。

弊塾ではまず、採用した講師と下記の内容で雇用契約を結びます。

・試用期間(2週間)

・研修期間(2ヶ月)

・本採用(1年、以後1年更新)

試用期間でこちらが求めるクオリティをクリアすれば研修期間へ移行し、
研修期間で「この先生、とても良いな。続けてもらいたいな」となれば本採用となります。

前編となる今回は、このうち「試用期間」についてお伝えしていきますね。

ちなみに、大前提として弊塾では、応募が100件あったと仮定した場合、

・そのうち、試用期間へ進むのは10人前後
・その10名のうち、研修期間もお願いする人は5名前後
・その5名のうち、本採用になるのが3〜4名

という流れです。

本採用される率は3〜4%程度ですので、かなりの狭き門だと思います。

それだけ、個別指導塾においては学生講師の質が大切であると思っているからで、
妥協しない採用をするために、お金と時間、さらには命をかける思いで、
講師応募の数(=分母)を増やす取り組みをしています。

さて、2週間の試用期間についてですが、まずここに進んだ時点で、
倍率10倍を突破してきているわけですから、基本的には素質もあり見込みを感じています。

そのため、この試用期間で見るポイントは、
「面接では見抜けなかった部分を確認する」ことです。

やはり、面接で本人の状況を100%見極めることは不可能です。
できて70%ぐらいという感覚でしょうか。

ですから残りの30%を、実際に一緒に働くことで確認するのです。
お見合いをして、そのあとデート(交際)してみる感じですかね。

たくさんの時間を実際に共有することで、「最初の印象どおりだった」と思うこともあれば、
「思った以上にすてき!もっと好きになった!」という場合もありますし、
残念ながら「うーん、思ってた人と違うかも……」と気付いていく、あのイメージです。

見た目はタイプなのに、食事に行ったら店員さんに横柄だったとか、
食べ方がお行儀悪かったとか、よく聞く話ですよね。

まあそれはものの例えですし、
要は「この人とこれからも付き合っていけるか」=「これからも気持ちよく一緒に働けそうか」を
判断するといったところでしょうか。

そこは相性の部分もあるので、その新人講師に問題があるというより、
教室長や私、今いる学生講師との相性のような部分が大きく、
本当にご縁の世界だと思います。

試用期間での勤務時間は、「週2回、1日2コマ」が目安です。

ですから、2週間で4日、8コマが基本となります。

その8コマは、このように配分しています。

・2コマ:授業見学
・2コマ:コーチング研修
・2コマ:模擬授業
・1コマ:教材研究
・1コマ:マニュアルの確認テスト

時系列に並び替えると、

・授業見学(1回目)
・模擬授業(1回目)
・コーチング研修
・教材研究
・授業見学(2回目)
・模擬授業(2回目)
・マニュアルの確認テスト

が基本の流れです。

1回目の授業見学で、1:2のやりかた、指導の方法を初めて見学し、
その後模擬授業を行います。

当然ながら、模擬授業ではかなりの高確率でたくさんの失敗を重ねます。
でも、それでいいのです。

模擬授業ではベテラン講師が生徒役をしているので、
その目線で改善点や良かった点などを話し合う時間も設けています。

その後、弊塾の指導でも取り入れているコーチング法の基礎理論を学んでもらいます。
コーチングは奥が深いので、本当に初歩の初歩をかじってもらう感じです。

ほとんどの学生講師がコーチングを知らないので、
基礎を学ぶだけで劇的に声かけや伝え方が変わることもありますよ。

「こんな伝え方があったんですね。勉強になりました!」と言ってもらえることがほとんどです。

次は、弊塾で使用している教材の研究です。

中学数学のテキストでも3種類ほどあるため、
出題のされかたや難易度などをみてもらいます。

このとき、作業中の所作もチェックするようにしています。

例えば、使った後の椅子をきちんと整理できるか、教材を丁寧に扱えるか、
作業中に生徒さんが来たときに、手を止めて挨拶できるかなどです。

こういう何気ないところに人間性が見えるので、バカにできません。

ちなみに、学生講師が行った教材分析であっても「なるほど」と思えることもあり、
意外と私たちも勉強になることもあります。

正直、自分がこの所作も含めてこのレベルのことを学生時代にできていたかと言われると、
ほとんどできないダメ大学生だったと思います。

自分のことを棚に上げている自覚はあるのですが、やはり生徒さんのことを思えば、
「僕もできなかったから仕方ないよね」とは言ってあげられません。

心を鬼にして、質の高い人財を求めています。

その後は、2回目の授業見学と模擬授業を行うのですが、
ここでは1回目の経験や反省と、コーチングの要素を取り入れて行います。

授業見学でもベテラン講師の発言を意識することができますし、
「どこを見るべきか」という意識も生まれているので、1回目の見学とは質が異なりますね。

模擬授業でも、飛躍的に指導力が向上するケースが多いです。

逆に言えば、2回目で向上が見られない場合は、
指導力や伝える力が弱いと判断し、試用期間で終了となる可能性が高いです。

そして最後に、研修初日に配布した講師マニュアルの穴埋めテストを行います。
どれだけ講師マニュアルを覚えてきたかを見て、本人のやる気や想いを最終確認します。

これらをふまえ、最終的に研修期間に移行するかどうかを決定します。

また、学生講師本人にも「2週間にやってみてどうだった?」という確認は行います。

先ほど「試用期間はお見合いみたいなもの」と申し生ましたが、
当然、彼らの側も選ぶ権利があるからです。

こちらがいくら「ぜひ本採用したい!」と思っても、相手がそう思わないこともあるでしょう。

それを無理につなぎとめても、結局はトラブルのもとです。

したがって、試用期間の2週間は、お互いがお試しという感覚で
やっていけるかどうかを確かめる期間だと言えますね。

いずれにせよ大切なのは、試用期間から研修期間へ移行できるか否かに関わらず、
常に愛情をかけて接し続けることです。

講師研修は教室長が中心となり、気迫みなぎるフルパワーで実施しています。

試用期間や研修期間では、1日の研修が終われば、
教室長が必ずその日の振り返りをマンツーマンで行います。

良かったことや課題点を挙げ、次回に活かすようにと欠かさずシェアするのです。

手前味噌ですが、教室長のこの妥協なき姿勢と愛情が、
現在の弊塾の地盤となっているといっても過言ではありません。

いかがでしたでしょうか。

何度も申しますが、個別指導塾は講師がキモです。

採用だけでなく研修にも時間をかけて、
弊塾にプラスになる存在かどうかを確かめることを徹底しています。

それも大切な生徒さんに楽しく分かりやすい授業を受けてもらいたいからですし、
何より私や教室長、すでにいる学生講師たちがより楽しく働ける環境を作りたいからです。

次回は、2週間の試用期間を経て突入する、
2ヶ月の研修期間について深掘りしたいと思います!

【今回のまとめ】
・2週間のお見合い期間を設け、ちょっとしたズレがないかを確認する
・意図を持って研修を行う

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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