【Vol.681(2023.04.12)】子ども向けの有給休暇!?

愛知県が今年度から導入した「ラーケーションの日」が話題となっています。

<年3日まで学校を休める「ラーケーションの日」導入へ 愛知>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230317/k10014010981000.html

ラーケーションとは、ラーニングとバケーションを組み合わせた造語で、
主に公立の小~高校において
「年3日まで、家庭の意思で学校を休んでもいい」という制度です。

休んだ日は欠席扱いにならず、その日の授業は家庭での自習で補うこととなっています。

言ってみれば、子ども向けの有給休暇のようなイメージですね。

もともとは、愛知県が進める働き方(休み方)改革の一環として、導入されたそうです。
保護者の有給休暇取得を促し、子どもと過ごす時間を増やすことがねらいです。

職業によっては土日に休めないお仕事もあるでしょうし、
実際に保護者層からは歓迎の声が多く上がっています。

個人的には、とても良い制度だな~と思います!

と言うのも、先日の当メルマガでも少し触れましたが、我が家も以前から子どもに対し
「3日まで休んでいい」という家庭内の独自ルールを設けていたからなんです。

それが公的な制度として認められるということですから、
「愛知県、やるな~!」というのが正直な感想です。

愛知県では、今年度の2学期から順次取得できるようにしていくとのことですが、
ここで良い成果が見られるようなら、今後は全国に拡大していく可能性もあります。

これをふまえ、塾でも「学校を(あるいは塾を)休むこと」について、
ある程度の方向性やルールを設けておくのも良いかもしれません。

例えば「今日はラーケーションなので塾を休みます」といったケースも出てくるでしょうし。

ただ、注意したいこともあります。

ラーケーションはその名のとおり、保護者の休みに合わせて子どもたちも休みを取り、
保護者との「校外学習」に充てて欲しいというのが制度の趣旨です。

つまり、単に家でゴロゴロしたり友達と遊びに行ったりするための休みではなく
「家族と共に」「校外で学ぶ」ための制度であるということです。

受験生が学校を休んで家庭学習(受験勉強)を行ったり、
塾や予備校の自習室へ通うというケースは以前からよく見られていましたが、
このような形でのラーケーション取得は趣旨に反するということですね。

ただ、いまのところラーケーションの日に
「ここへ行ってはいけない」「これをしてはいけない」といった細かい決まりはないそうです。

公園へ出かけて動物や植物の観察をしたり、博物館などに出かけるのはOKですし、
社会見学の一環だと考えれば、テーマパークや旅行に行くのもアリです。

方便だけの学びにならないために、
このあたりは今後のさらなる制度設計が必要かもしれませんね。

このように、おおむね好評なラーケーション制度ですが、
反対の声がないわけではないようです。

「学校へ行って学ばせるのは親の義務である」という考え方や、
「子どもが休めても、自分は休めない(有給取得できないブラック環境)」という方も
少なからずいるからです。

また、もう一つ大きな問題として
「学校を休むためになぜ許可が必要なのか」という意見もあります。

ラーケーションを取得するためには事前に学校への申請が必要で、
それが認められて、初めて利用できる制度だからです。

確かに、我が家も独自ルールで子どもに学校を休ませていますが、
それが許可制になってはたまりません。

やはりまだ「学校を休むのは悪いことである」という文化は根強いのかもしれませんね。

一方で、こうした制度が普及するようであれば、
塾ではこれを活用したラーケーションイベントを企画しても良いかもしれません。

平日の昼間に教室を開放して行うのです。
「親子で学ぶ○○教室」みたいな。

必ずしも対象者は塾生である必要はなく、
地域の子どもたちすべてが参加可能なのもおもしろいですね。

塾の認知やマーケティング的な効果も見込めるでしょう。

今後の動きに注目しつつ、新たな塾の魅力を作るチャンスにしたいですね!

【今回のまとめ】
・注目の制度「ラーケーション」全国に広がるか
・ラーケーションを使った塾の魅力アップも検討を

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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