【Vol.734(2023.10.13)】埼玉県の虐待防止条例から考える

ニュースが発表されるやいなや

喧々諤々の世論を巻き起こした、埼玉県の「虐待禁止条例改正案」。

 

子ども(小3以下)だけでの留守番や登下校のみならず、

お使いや公園での遊びも「子どもの放置=虐待」と見なし、禁止する案です。

 

多くは否定的な意見だったようですが、すったもんだの末、

改正案の白紙撤回で落ち着いたようですね。

 

<虐待禁止条例撤回で埼玉県知事「歓迎したい」>

産経ニュース
虐待禁止条例撤回で埼玉知事「歓迎したい」 埼玉県議会最大会派の自民党県議団が9月議会に提出していた、子供だけでの留守番などを放置による虐待と定める「虐待禁止条例」の改正案を取り下げると発表した10日、…

この改正案に沿うと、子どもを家に置いてちょっとごみ捨てに出ることも

高校生のきょうだいに幼い弟や妹を預けて出かけることも「虐待」となるようで、

これでは親はたまったものではありません。

 

日本の生活実態とあまりにも乖離しており、実行は事実上ほぼ不可能。

 

「この改正案を策定した委員会には、子育て経験者はいないのか」

と揶揄する声が上がったのも、無理のない話だと言えるでしょう。

 

これをふまえて、塾のあり方という視点で考えてみたいと思います。

 

今回の改正案ですが、幼い子どもを放置することを虐待と位置づけ、

それを禁止するという考え方そのものは分からなくもないんですよ。

 

ただ、もし本当にその改正案を実行するのであれば、

「受け皿」の整備とワンセットであるべきだったと思います。

 

例えば子どもだけで留守番をさせてはいけない、

公園で遊ばせてはいけないと言うのであれば、

自治体側がその見守りを担当する専任者を置くとかですね。

 

一方で、今回の改正案そのものは撤回されたものの、

仕事の事情などで不安を抱えながら子どもを放置せざるを得ない家庭は多いはずです。

 

そうした家庭のサポートに、学習塾が対応できる面があるかもしれません。

 

幼児教育と絡めて事業化することも可能でしょうし、

塾企業が民間学童に進出しているのも、その一例でしょう。

 

ただ、それでも「週末はどうするのか」「幼稚園児や保育園児はどうするのか」

といった問題もあります。

 

日曜保育などを実施している保育園は限られ、

あったとしても事前申請が必要な場合がほとんどです。

 

また、急な子どもの見守りが必要になった場合、

信用できるママ友に預けるなどして乗り切っている家庭も多いですよね。

 

例えばそうしたお母さん方(あるいは地域住民)をネットワーク化し、

人員をあっせんできる互助制度なども作れるかもしれません。

 

塾であれば、生徒さんの保護者さんとしてすでに人的コネクションがあるわけですし、

ゼロから人材を探す必要もなく、地域に新たな雇用を生み出すきっかけにもなります。

 

こうした、セーフティネットからこぼれてしまう人たちを助けるのも

地域密着型の事業を行う塾企業だからこそできる社会貢献の一つです。

 

塾としてのブランド力や信頼度も高まることでしょう。

 

こういう言い方は不適切かもしれませんが、社会の困りごとはビジネスの種でもあります。

 

ベビーシッターの公的補助も拡大しているようですし、

すぐに事業化とまではいかなくとも、一考の余地があるかもしれません。

 

以前に、障がい者向けのバリアフリーに関連して

こんな言葉を聞いたことがあって、とても印象に残っています。

 

「障がいがあることが不便なのではない。障がいが不便になってしまう社会のみがあるのだ」

 

いやー、実に本質的ですよね!

 

今回の一件も同じように考えられるかもしれません。

 

仕事などで子どもを一人にしてしまうのが悪いのではなく、

仕事があると子どもを一人にせざるを得ない社会システムに問題があるのです。

 

教育・子育て産業の末席でメシを食わせてもらっている私たちだからこそ、

できることがあるかもしれません。

 

一緒に考えてみませんか?

 


【今回のまとめ】
・子育て支援の受け皿に塾ができることがあるかも

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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