【Vol.742(2023.11.10)】塾は子ども用ビジネス?

塾は基本的に、子どもに対してサービス提供を行うビジネスモデルです。
(お金を出すのは保護者さんですが)

そんな中で先日、「リスキニング(学びなおし)」として、
大学や大学院で学ぼうとする人たちに関するニュースを読みました。

<「学び直し」は定着するか 中高年に門戸広げる大学>
https://www.sankei.com/article/20231105-HPI2LBJ2MZOEFCJQFVQ2QLP25E/

記事の中にもありますが、国はリスキニングを推奨しており、
新たな知識や技術習得に挑戦する中高年の方が増えているようです。

いくつになっても「学ぼう」という姿勢があるのは本当に素晴らしいことですね。

しかし、社会的な認知はまだまだで、
それをサポートする体制は整っているとは言えないようです。

例えばリスキニングと生涯学習の違いって分かりますでしょうか?

どちらもなんとなく「大人がもう1度学ぶこと」というイメージがありますが、
前者は仕事に活かすための学び、後者は老後のライフワークとしての学びです。

生涯学習はかなり浸透した感がありますが、
リスキニングがこれと混同して扱われることも多いですね。

これからの学習・教育産業を見据えたとき、
こうしたリスキニング向けの市場も可能性があるのではないかと感じます。

現に塾業界は少子高齢化の波にさらされて、誰もが生き残りに必死ですよね。

しかし子どもが減っており、今後も大きく好転する材料が見当たらない中、
マーケット(母数)としては確実に縮小傾向にあるのは客観的な事実です。

ただ、少子高齢化を逆に言えば、
高齢者および中高年向けのマーケットは伸びるということでもあります。

実際、大学としてもリスキニングを目的とした中高年の方々は、
「学生数確保」という観点で見たときも重要な存在になってきているようです。

社会人やシニア向けの大学入試も、レベルはさまざまです。

高校生が一般入試で入学するときのように、
必死で勉強しないといけないほどではないかもしれませんが、
先述のようにリスキニングへの理解やサポートが不十分であるのは事実です。

リスキニングを望む人たちは、自分で情報を集めて自分で対策しているものと思われます。

あいにく私は現状の詳しい市場分析まではできていませんが、
こうしたサポートができるようであれば、十分にビジネスの種になるのではないでしょうか。

長期的な視野でみた際も、今後のリスキニングが浸透するのであれば、
卒塾生や元講師が顧客になる可能性もあります。

また、サポートだけでなく実際に「学びを提供する」側に回ることもできるかもしれません。

大学や大学院に入学するほどでなくとも、
何かを勉強したい、新しい技術を身に着けたいと思っている大人は多いはずです。

彼らを「生徒」として迎え入れることも考えられます。

実際に、リスキニングの対象として人気なのは、
データサイエンスやAI、プログラミング、マーケティング、語学、
コミュニケーションスキルなどだそうです。

データサイエンスやAIなどは専門性が高すぎてすぐに塾で対応することは難しいでしょうが、
それ以外は塾でもコンテンツを作れそうな気もします。

また、単なる社会人向けのスクールではなく、
「塾」がそれをやるというのも面白いと思うんです。

小中高生など、一般的な生徒との接点や、共学できる体制を構築できれば
ビジネス的にも学習的にも、そこから新たな化学反応が起こりそうですね。

大人になっても学ぼうとする姿勢に子どもたちが刺激を受けるとか、
もしかしたら50歳と18歳が同じ大学を目指して切磋琢磨するようなことが
起こりえるかもしれません。

親子通塾なんていうのもアリかも!?

いずれにせよ、子どもが減り中高年が増えていくのは間違いない社会において、
その中高年が「学び」へのニーズを持っているなら、
それは大きなチャンスではないでしょうか。

「塾=子どもの学習サポートをするビジネス」という既成概念を
外して考えても良い時代になっているのかもしれませんね。

【今回のまとめ】
・中高年のリスキニングが増えている
・少子高齢化の社会において、塾市場のチャンスかも?

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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