【Vol.755(2023.12.26)】塾や自身の15年後を考える

冬期講習に入り、先生方もバタバタの日々が続いていると思います。
本当にお疲れ様です!

そんな中でも時間をとって、今年中にじっくり考えてもらいたいことを
今回のテーマにしてみました。

みなさんと一緒に「塾や自身の未来」について考えてみたいと思います。

みなさんもよくご存知のように、社会はすさまじいスピードで少子化が進んでいます。

【出生数の動向(推計と実績)/財務省)】
https://www.mof.go.jp/zaisei/subject/subject-01.html

リンク先のグラフを見ていただくと分かるとおり、恐ろしいレベルで出生数が減っています。
さらに違うデータから引用すると、

・2008年の出生数109万人
・2023年の出生数72万人(推定)

とあります。
衝撃的ですが、たった15年で33%減です。

2008年生まれ世代は、現在の中3です。

この推移をそのまま塾整数に当てはめると、つまり15年後には、
みなさんの塾に通う中3生は現在の33%減になるわけです。

現在中3が30名いる塾さんであれば、20名ということですね。

例えば、単純に考えて今借りている教室の広さは不要になりますし、
固定費削減の観点からも移転は必須になるでしょう。

考えれば考えるほどぞっとする未来で、フタをして知らないふりをしておきたいところですが、
迫り来る未来に対して、逃げずに真っ向から向き合っていく必要があります。

もちろん、どこの業種でも2極化する傾向にありますので、
子どもの数が減っても生徒数を維持できる仕組みを作る塾さんもあるでしょう。

逆に、有効な手を打てず、3分の2をどころか
半分以下の生徒数になってしまう塾さんもあるでしょうし、
最悪廃業となるケースも想像できます。

実は2年前にも似たようなテーマでメルマガをお届けしたのですが、
このとき、塾の未来の選択肢を思いつくまま挙げていました。

=====
(1)今以上に付加価値を高め、生徒数が増える教室運営を行う
(2)今以上に付加価値を高め、月謝単価を高める教室運営を行う
(3)対象学年を増やし、全体の母数を増やす(減少を食い止める)
(4)学習塾以外の経営の柱を作る
(5)資産形成などお金を生み出す仕組みを作り、学習塾は趣味で行う
(6)学習塾が軌道にのっている間に売却し、違う業種へ進む
(7)生徒数減(売上減)に比例して、生活水準を下げる
(8)なんとか逃げ切る
(9)とりあえずいけるとろこまでいく!どうにもならなくなったら、あきらめる(笑)
=====

自分で言うのもなんですがなかなかリアリティがあり、今でもそのまま通用しそうです。

みなさんでしたら、(1)〜(9)のどれを選択されますか?

もちろん(8)や(9)は避けたいところですが、選択に正解・不正解はなく、
自身の想いや環境などから「この道を選ぶ!」と強い意志を持って実践することで、
15年後も順調に教室運営ができている可能性がアップするのではないでしょうか。

そのとき私は(2)(4)を考えていて、この2年間取り組んできたところです。

当時のメルマガを振り返ると、不登校サポートや金銭的に通塾が厳しい人向けの無料塾、
通信制高校サポート校などに興味を惹かれていることや、
生徒さん一人当たり単価を上げて「そのぶんきっちり見てもらえる少人数制の塾」という
スタンスにシフトしていきたいと書いていました。

このうち「通信制高校サポート校」や「単価を上げ、少人数制の塾にシフト」に関しては、
ほぼ達成することができましたが、「不登校サポート」や「無料塾」に関しては
今のところ何も手がつけていない状況です。

自分の中での優先順位が高くない取り組みとも言えますので、
今後「やる・やらない」含め、またじっくり考えていきたいところです。

こうした弊社の例をふまえつつですが、
みなさんはご自身のことに関して今後どうお考えですか?

教室の未来とともに、15年後になりたい自分を想像してみてください。
そのためにどう行動するのかが見えてくるはずです。

しかし、新しく事業を起こしたり、
業態に大きな変化を加えたりする場合には、それなりの原資も必要です。

コンサルティングというお仕事をさせていただく中で、たくさんの塾さんを見てきましたが、
その中で、「余力資金がある塾かどうか」はかなり大きなポイントだと感じました。

つまり現金をたくさんもっているかということです。

気持ちはもちろんよく分かりますが、
運転資金がショートすると、冷静な判断もできなくなりがちです。

お金(売上)のことばかり考えるようになって、
生徒さんや保護者さんからいかにお金を取るかという発想になり、
満足度が下がることで、さらに退塾が増え……
という負のスパイラルから抜け出すことができなくなるでしょう。

生徒さんの顔が札束に見えたらもう終わりです。

したがって、資金に多少なりとも余裕のある冷静なうちに、次の一手を見つけるべきです。

生々しいですが、借金してでも手元に現金をたくさん置いておくに越したことはありません。

現金が手元にあり気持ちに余裕ができるだけでも、
冷静な判断ができる可能性が高まりますよ。

ただ、間違っても「賭けに出ること」はやめておきましょう。

人は追い詰められると、最後に博打を打って一発逆転を狙おうとしますが、
そのような状態で合理的な挑戦のアイデアが出るとは思えません。

そもそも、客観的に見て良い案なのであれば、最初からやっているはずです。

賭けに出るという選択自体が、すでに冷静さを欠いているとも言えます。

追い詰められないためにも、
今のうちから5年後・10年後・15年後の自塾や自分自身をどうしたいのか、
あるいはどうなるのかを想像しておきたいですね。

1年の終わりに、もしくは新しい年の始まりに、
将来についてじっくり考えてみるのはいかがでしょう。

いずれにせよ、これからの時代、内部充実がますます問われることになります。
すなわち「退塾ゼロ」です。

特にクライアントのみなさまにはいつも口酸っぱくお伝えしていることで恐縮ですが、
退塾がゼロであれば生徒数は減りませんし、
むしろ満足度が高くなり紹介が増えて生徒数が増えます。

これは15年後も普遍の真理であるはずです。
塾は人と人とで成り立っていますから。

生徒さんの絶対的母数が少なくなっていくぶん、
一人ひとりへの手厚さを増して、さらに地域に根付いていきたいですね。

【今回のまとめ】
・15年後、子どもの数は33%減になる未来を受け入れる
・少子化だからこそ、内部充実のさらなる向上がカギ

この情報をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

目次