【Vol.658(2022.01.20)】著作権、意識できてますか?

先ごろ、こんなニュースを目にしました。

<学校だよりにネット上のイラストを無断使用 白石町が損害賠償>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20230110/5080013593.html

佐賀県の小学校校長が、学校だよりとHPにおいて
ネット上で見つけた画像を無断で使用し、著作権者から賠償を求められたという事例です。

この校長先生、「無料 夏」などと検索して出てきた素材を
フリー素材だと勘違いして使ってしまったそう。

ただ、一部報道によると校長がイラストを見つけた当時、
サイトに著作権に関する記載はなかったにも関わらず、現在は記載されているとのこと。

校長も悪意があってのことではなさそうですし、
著作権者も対応が不十分だったようにも見えますが、行為自体はやはりNGです。

以前から、教育界はこのあたりの権利関係について認識が甘いと指摘されてきました。

特に学校はその公共性から、著作権法上において、
「学校その他の教育機関」で「教育を担任する者」が
教育を目的として絵や音楽などの著作物を使用する場合は
著作権者の許諾を得る必要はないと認められています。

それが余計に拍車をかけている部分もあったのでしょう。

一方、営利団体である学習塾はそうはいきません。

残念ながら「学校その他の教育機関」に塾は該当しませんし、
塾講師は「教育を担当する者」とは見なされていないからです。

要は公教育じゃないとダメですよということですね。

ちなみに今回の学校のケースは、学校だよりやHPでの使用であったため、
「教育」には当たらないと見なされたのかもしれません。

したがって、私たちは学校以上に著作権に対して神経質になる必要があります。

そこで今回は、再認識も含めて塾が気を付けたい事例について考えてみましょう。

例えば、「ロイヤリティフリー」の素材を「著作権フリー」と混同されている方もおられますが、
両者はまったく異なるものです。

著作権フリーは文字通り自由に使える素材ですが、
ロイヤリティフリーとは、1度(お金を払うなどして)使用ライセンスを得れば、
その後は使用許諾の範囲内で何度でも使えますよというものです。

あくまで著作権は著作権者が所有したままですので、使用料は払わないといけません。

しかし、ロイヤリティフリーであるにも関わらず
「著作権フリー」と表記しているサイトもあるので、非常にまぎらわしいです。

また「フリー素材」という言葉もよく聞きますね。

この場合の「フリー」は「無料」を意味してはいるものの、
「自由」に使って良いという意味ではなく、
使用条件をよく確認しないとやはり著作権に触れる場合があります。

「商用不可」といった条件が多いですが、このような条件が設定されている場合、
チラシなどにイラストを使用するのはやはりアウトです。

音楽も注意したいところです。

社員研修のときに
・BGMとしてアーティストの楽曲を使用したい
・社員研修は教育だからOK
とはなりません。

社員研修もあくまで営利活動ですからね。

ほか、もちろん教科書や問題集などをコピーして配布するのもダメですよ。

そんなことをされたら、「1冊だけ買ってあとはぜんぶコピー」ができてしまいますし、
出版社にとっては死活問題です。

入試の過去問も著作物ですので、無断で複製・配布してはいけません。

ちょっと盲点になりがちなところでは、
塾の名前やカテゴリなども商標登録されている場合があるので注意が必要です。

塾名はもちろん「○○型学習塾」といったカテゴリ名も、商標登録されている場合があります。

実際のところ、著作権法違反は、
著作権者からの申し立てがないと発覚しないことが多いです。

しかし、だからと言って「まあ大丈夫だろう」という発想は危険です。

それに、まがりなりにも「教育事業」を展開している私たちが、
違法と知っていながらそんなことをやるのは、子どもたちに示しがつきません。

聖人君子でなくても良いとは思いますが、法令くらいはきちんと守らないとですね!

お互い、気を付けていきましょう!

【今回のまとめ】
・教育界は著作権に関する認識が甘い
・「ちょっとくらいいいだろう」という考えは捨てよう

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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