【Vol.717(2023.08.15)】教室の空き時間を活用する場合のあれこれ

先日、家族で福井県へ旅行にいってきました。
ちなみに目的地は「恐竜博物館(けっこうおすすめです)」。

さて、その際に泊まった旅館がとても上手に部屋を活用しているなと思いました。

一般的な旅館やホテルでは、朝のチェックアウト時間から次のチェックイン時間まで、
掃除の時間を除いて部屋が使われていない状態ですよね?

そこで、昼食付きの日帰り入浴のプランを設定しており、
11:00~14:00は部屋を使うこともできます。

要はでデイユースのプランなのですが、無駄をなくしてフル活用する、
とてもうまく考えられたシステムだと感じました。

これって学習塾にもいえることで、一般的な学習塾の場合は
平日17:00~22:00時ごろが最も教室の稼働率が上がるときですよね。

一方でそれまでの時間は、教室には社員しかいない状況です。

この空間をうまく活用しようと、中学生などメインの塾生が来る前に、
そろばんやプログラミング、英会話など、
小学生の習い事コンテンツを入れている塾さんも多いと思います。

空いている空間を有効利用したいと思うのは当然ですし、
賃料が追加でかかるわけではありません。

逆に言えば、使ってもいないのに賃料が発生しているわけです。

そう考えると、固定費は人件費やロイヤリティのみですし、
それなりに成功しやすい仕組みだと思います。

弊塾の場合は中高生専用の個別指導塾ということあり、
小学生の習い事コンテンツ系は入れず、
「フォレスト高等学院」という名前で「通信制高校サポート校」を運営しています。

学校に行くのがしんどかったり、不登校の生徒さんだったり、
集団生活が苦手な生徒さんに対して何からのサポートができないかと模索していたときに、
ご縁あって通信制高校サポート校に巡り合うことができました。

通信制高校サポート校は、通信制高校に通う生徒さんに対して、
レポートなどの学習サポートを行う教育施設です。

一般的に通信制高校を3年で卒業できる生徒さんは半数以下と言われています。

レポートを実施して提出したり、スクーリングに参加したりと、
1人で計画を立てて進めないといけない部分も多く、なかなか計画通りに進まずに
4~5年かかるケースも珍しくないようです。

そこで、3年で確実に卒業するためのサポート役として、
通信制高校サポート校を利用されている方も多いのです。

学校のレポートを教室で行い、分からない部分は指導するなど、
学習塾に似ている部分もあり親和性がとても高い仕組みだと思います。

現在もたくさんの高校生が通学してくれていますが、
(学校の代わりという立ち位置でもありますので、通塾ではなく「通学」です)
授業時間も全日制の高校に近い形で、平日(水〜金)は11:00からの開校としています。

したがって教室の稼働スケジュールは、

<通常期(平日)>
・11:00〜15:30・・・通信制高校サポート校
・17:00〜21:40・・・学習塾

<通常期・講習期(土・日)>
・10:00〜19:00・・・学習塾

<講習期(平日)>
・10:00〜21:40・・・学習塾
※通信制高校サポート校の生徒さんは、全日制の高校同様、長期休みになります。

という形でうまく棲み分けし、教室空間を使うことができています。

通信制高校サポート校はすでに借りている場所で実施できるので、
他の有効活用と同様、改めて家賃がかからないのが大きなメリットです。

また、私と教室長の2人で生徒対応をしていることもあり、
これも固定費を抑えることができている要因だと思います。

来春からは育休中のスタッフが復帰する予定ですので、
運営メンバーはさらに厚みを持たせることが可能です。

ここまでだと、とても良さそうな事業だと思われるかもしれません。

ただ、気軽に始められるものでもありません。
大変な部分も多いですので、そのあたりもをきちんとお話ししておきますね。

まずは、当たり前ですが業務量が単純に2倍になります。

学習塾の業務をこなしつつ、通信制高校サポート校の業務をするわけですから
仕事の量が爆発的に増えます(笑)。

それに伴い、労働時間も増えます。

ちなみに、私の平日のシフトは
・月〜火・・・14:00出社、23:30退社
・水〜金・・・8:30出社、23:30退社
です。

うまくスケジューリングして夕方に仕事を上がることもたまにありますが、
基本的には15時間以上教室にいます。

言うまでもなく、社員さんに同じことをさせるわけにはいきませんから、
私がやるしかないわけです

まあ自分のやりたいことをするために個人塾として独立したわけですから、
それ自体は大したことではありませんが、
この事業に情熱を持てない人(単なるキャッシュポイントとして見ていない人)は
ちょっとしんどいかもですね。

また、通信制高校サポート校を立ち上げたばかりは、塾と同じで新規開校扱いとなります。

認知してもらうための活動も当然必要で、特に広告費がかかります。

昨年度だけでも、20万部ほど新聞や地域紙にチラシを折り込みましたし、
今年度もすでに10万部以上折り込んでいます。

ポスティングも月5,000〜10,000部をコンスタントに配布するほか、
周辺の中学校に学校訪問をするなど、地道な広報活動を行っています。

このあたりは人を雇えばすべて解決するのかもしれませんが、
まずは自分自身ができるよう(知っているよう)になりたいという思いが強く、
この1年は勉強と考え、できるだけ自力で運営している次第です。

自分が知らないのに人に仕事を振るのは、個人塾で失敗するよくあるパターンですしね。

このように、通信制サポート校にしても他のコンテンツにしても、
空き時間を有効に使いたいという軽いノリで導入しても、
基本的にはうまくいかないと思っています。

新規事業として、塾を新規開業したときくらいの意気込みで
取り組まないといけないということです。

空き時間を有効に使うことで、稼働時間が増え、結果売り上げがアップするのは事実です。

しかし「自分にはそこまで……」という場合は、
無理せずに学習塾に全集中することもいい選択だと思います。

あなたはこれからの塾運営、どう考えていますか?

塾運営に特化して突き進みますか?
それとも別事業も並行させながら運営していきますか?

【今回のまとめ】
・空き時間に気軽にコンテンツを入れると大火傷する
・空き時間を有効活用するなら、塾の新規開業時の気持ちが必要

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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