【Vol.582(2022.04.30)】「子どもの権利」、知っていますか?

先日、気になると同時に「私自身はどうだろう……」と考えさせられるニュースを目にしました。

<子どもの権利 教員の3割「名前だけ」「全く知らない」NGO調査>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220423/k10013594931000.html

国連は「子どもの権利条約」を定めており、
それに基づいて世界中の子どもには「権利」が保証されています。

その「権利」とは、大まかに「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」こと。

また、その前提として以下の四つの原則があります。

1.すべての子どもの命が守られること
2.子どもに関することが決められたり行われたりするときは、
「その子によって最も良いことは何か」を第1に考えること
3.子どもが自由に自分の意見を表明できること
4.差別がないこと

詳しくは、下記にも解説されていますのでぜひご一読ください。
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html

さて、記事ではこうした「子どもの権利」について、
学校の先生ですらよく知らないという実態が明らかになりました。

子どもを守り、育てる立場にある先生が、
肝心の「子どもの権利」を知らないのは確かに問題であると言えます。

しかし、人のことは言えないかもしれません。

転じて、私たち塾業界の人間はどうでしょうか。

調査データがないのであくまで個人の意見ですが、
おそらく学校の先生よりも理解の浸透は低いのではないかと思います。

学校の先生と同じ、子どもたちに教える立場にいるにも関わらずです。

恥ずかしながら私も
「子どもの権利条約の条文に示された権利を、一つずつ全部言え」と言われても
答えられないのが現状です。

「子どもの権利は大事だけど、それは児童労働や差別などから守るためのものでは?」
「個々の教育現場(塾)でそういう問題は起こらないだろうし……」
と思われるかもしれません。

確かにそれは重要な目的ではありますが、ここでもう一度、
子どもの権利に関する四つの原則を読んでみてください。

特に2と3です。

2.子どもに関することが決められたり行われたりするときは、
「その子によって最も良いことは何か」を第1に考えること
3.子どもが自由に自分の意見を表明できること

とあります。

これは、児童労働とか差別とか「具体」の問題ではなく、
最も根本となる考え方の問題です。

このとき、私たちは2や3をきちんと理解し、そうした行動が取れているか、
ぜひ一緒に考えてみませんか?

例えば塾の合格実績のためだけに、本人が望まない受験をさせるなどは、
明らかに2の原則に反しています。

もちろん、当メルマガ読者のみなさんはそんなことはなさらないでしょう。

しかし、もう少し掘り下げてみると、私たちがよく使う
「(本人が望んでいなくても)それがお前のためなんだ!」という考え方には
注意が必要かもしれません。

「志望校に合格するためには、いま辛くてもそれをやらせなければ!」と考えて
厳しいノルマや課題を課しがちですが、
極端に言えば本当にその必要があるのでしょうか。

長期的、あるいは俯瞰的な視点で子どもたちの人生の幸福を考えたとき、
目先の志望校合格がどこまで重要なのかは疑問です。

2の原則に基づくなら、それは真に「その子にとって最も良いこと」なのかということですね。

3の原則に基づくなら、有無を言わさずそれに従わせていないかということです。

大人が近視眼的かつステレオタイプに、
もしくは自身の価値観に基づいて考える「こうあるべき」が、
必ずしもその子にとって最適とは限らないのです。

しかし塾は、特に理念型の塾さんは、ついここが「独りよがりな正義」になることがあります。

もちろん、各塾さんの理念を否定するものではありません。

それに、その塾さんの理念が合わなければ、
辞めて他の塾さんに行けばすむことだとも言えます。

ただせめて、「子どもの権利(の原則)」に基づき自身の理念や言動を客観視したり、
必要とあれば軌道修正したりできる柔軟な謙虚さは持っておきたいですよね。

大いに内省を深められるニュースでした。

ぜひ1度、みなさんにも考えていただきたいテーマです。

【今回のまとめ】
・あなたの塾は「子どもの権利」を守れていますか?
・凝り固まらず、必要なら変われる勇気や柔軟性を

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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