【Vol.690(2023.05.12)】障害者対応、どうしてます?

少し前のニュースになりますが、大事なことなのでシェアしたいと思います。

高校が定員割れを起こしているにも関わらず受験で不合格になる、
「定員内不合格」の問題です。

<定員割れなのに不合格 「地域の高校で学びたい」と障害のある18歳女性訴え>
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/407007

ニュースは、重度の障害を持つ女性が、
地元の同じ公立高校を4年連続で不合格になっているという内容です。

永岡文科相は「定員内不合格を出す場合は、その理由を説明するのが適切」としていますが、
学校側は不合格の理由を「総合的な判断」と説明するにとどまっており、
女性とその母親が苦しい胸の内を明かしています。

断言はできないものの、客観的に見れば、障害を理由としている可能性は非常に高いです。

しかしこれについても永岡文科相は
「障害を理由に不合格とすることはあってはならない」と強調しています。

国連の障碍者権利委員会からも日本政府に対し、
「障害があるすべての子どもに、通常の学校へのアクセシビリティを確保すること」
と勧告がなされており、看過できない状況です。

それにも関わらず、2022年度の高校入試において、
全国でのべ1,631人が定員内不合格の憂き目に遭っていることが分かっています。

しかも、定員内不合格については自治体によって対応が異なるらしく、
徹底して定員内不合格を出さないようにしている自治体もあれば、
100人以上を出している自治体もあり、中には実態を「把握していない」という自治体も。

つまり、住んでいるところによって、学ぶ権利に格差が生まれている状況なのです。

このようなニュースを見ると、心情的には親子に肩入れしたくなります。
もし、自塾の生徒さんがこんな目に遭ったらと思うと、許せない気持ちにもなりますよね。

しかし一方で、障害などがあって受験で合格できない生徒を特例的に入学させるのは、
入試の公平性が失われるという指摘もあります。

普通高校ではなく、特別支援学校ではダメなのかという考えもあるでしょう。

これはあくまで個人的な憶測ですが、
自治体(学校)も障害者を差別したいのではなく、入学させてあげたいのはやまやまでも
通常の学校生活を送らせてあげられるだけの受け入れ環境が整っていない、
というのが実際のところではないかと思います。

かと言って「障害を理由に不合格」とは言えませんから「総合的な判断」ということなのでしょう。

ここから私たちが考えたいのは、
「障害など何らかの特殊な事情があるが、塾に入れて欲しい」という子がいた場合、
どう対応するのか、どこまで対応できるのかです。

私たちの多くは、地域に密着して、
「地域の子どもたちのために」という思いで塾をやっているはずです。

その原則に添うならば、「塾に入れて欲しい」と言っている子を
突き放してしまうのは、心が張り裂けそうになってしまいますよね。

もちろん、慈善事業でやっているのでない限り、入塾を断る権利はあります。

でももし、どの塾も入れてもらえなくて、自塾に助けを求めているならば、
何とかしてあげたいというのも人の心というものです。

それに、もし断るのであれば、今回の定員内不合格と同じように、
十分な説明を果たす必要もあると思います。

本当に、難しい判断を迫られますよね。

あなたの教室では、このあたりの入塾条件を定めておられますでしょうか。

障害と言っても、その度合いは実際には線引きが難しいですし、
結局はケースバイケースの判断になるのだと思います。

もしくは、心を鬼にして、基本的な学習に支障がある障害を持っている場合、
入塾許可を与えないというのも一つの答えでしょう。

さらに言うなら、フィジカルな障害ではなく、発達障害のお子さんのケースもあると思います。

そもそも塾に来ている子は、学校の授業についていけないなど、
そのほとんどが公教育(学校)だけの教育では不十分だから、あるいは適応できないから、
助けを求めて塾の門を叩いているわけです。

それが塾でも見放されてしまうと、本当に行き場を失ってしまいます。

できること、できないことはあると思いますが、
いま一度、自塾の受け入れ態勢や条件を見直してみてもいいかもしれません。

特に、いつも当メルマガでもお伝えしていますように、
個人塾は即断即決や小回りが利くところが強みなのですから、
考えようによってはできることもあるのではないかと思うのです。

「救う」などと言うとおこがましいですが、一人でも多くの子どもたちの力になれるように。

そのための民間教育、そのための塾なのだという気持ちを忘れずにいたいですね。

【今回のまとめ】
・障害者の入塾に対する条件設定や見直しを
・助けを求めている子どもたちを助けてあげられるように

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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