性犯罪歴のある人物が、子どもと関わる職業に就くことを抑制する
「日本版DBS」のニュース。
塾業界にも適用するか否かで丁々発止のやり取りがある中、
当メルマガでも何度か取り上げてきました。
ひとまずは、塾業界もその対象となりそうな流れで進んでおり、
これで何とか子どもたちを守りやすくなると思いますし、
必死に掛け合ってくださった業界団体のみなさんには心から感謝したいです。
また、子どもたちの安全が第一義であることは当然ながら、
塾経営のリスク管理という視点でも良いことだと思います。
万が一、問題のある人物を知らずに雇ってしまい、
事件でも起こされた日には、中小の塾なんて廃業まっしぐらですからね。
しかし一方で、これも「対岸の火事とは言えないな」と
最近特に思うようになったのが、大学生の薬物(大麻)問題です。
<大麻で大学生の検挙相次ぎ 大学で薬物乱用防止の講座 東京>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230822/k10014170411000.html
リンク先の記事にもあるように、日大アメフト部の問題など、
大麻の所持や使用をめぐる大学生の検挙事例が後を絶ちません。
言うまでもなく、個別指導塾にとって大学生は、講師の主力となる重要な戦力です。
その講師が薬物で問題を起こしたらどうなるでしょうか。
さらに「お前もやってみる?」と、軽い気持ちで一人の講師から他の講師へ、
最悪の場合は生徒さんにまで……
考えるだけでぞっとしますよね。
性犯罪の問題と同じレベルで、警戒や対策が必要だと思います。
私たち世代の、ある意味で「一般的な社会生活」を送ってきた人間の感覚からすると、
薬物なんて異世界の話のような気もします。
あまりにも現実味がないという感じでしょうか。
正直、私もそうです。
しかし、その考えは改めたほうが良さそうです。
現代の大学生にとって、薬物は完全に身近な存在になっています。
昨年、関西の4大学(関関同立)が学生を対象に行った調査結果によると、
なんと、約12人に1人が「薬物を使用している人を直接見たことがある」と答えたそうです。
さらに薬物の入手について「難しいが手に入る」「手に入る」と答えた学生の合計は、38.3%。
実に約4割が「手に入れようと思えば手に入る」環境にあるのです。
ちょっと、愕然としました。
また、仮に薬物が入手できたとしても、
それは一部の「不良のやること」だという感覚も、過去のものだと思ったほうが良いでしょう。
こちらの記事をご一読ください。
普通の大学生が薬物の闇へ落ちていく過程が、当人の口を通して語られています。
<“時間も夢も失った” 当事者語る大麻汚染>
https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/kishanote/kishanote75/
まじめな普通の学生が、軽い気持ちで手を染められる環境にあるのです。
私も記事を読んだ感覚では、昔のタバコや飲酒のような印象を抱きました。
私自身は喫煙をしませんが、タバコって友達に誘われて始めるケースが多いですよね。
「1本吸ってみる?」と言われて、好奇心から「まあ試しに」みたいな感覚です。
お酒もそうかもしれません。
現在の大学生は、薬物に対してそのような感覚なのではないかと感じました。
また、薬物の世界に誘うときの常套文句として
「大麻を合法化する国が増えている」(から本当は危険ではない)、
日本がむしろおかしいのだ、という理屈が展開されるようです。
毒性という意味ではタバコよりむしろマシ、みたいな意見も散見されます。
ただ、勘違いしてはならないのは、合法化している国も、
「大麻が危険ではないから合法化している」わけではないということです。
例えばカナダでは、大麻などの売上が反社会勢力の財源となっており、
その取り締まりのための費用も莫大なものになっています。
それなら酒やタバコと同じように、使用を合法化して国が管理したほうが、
合理的に大麻対策が取れるという、いわば苦肉の策です。
こうした事実を学生が理解しておく必要もあるでしょう。
現時点で、塾でできることは限られているかもしれません。
しかし、抜本的な対策はまだ難しいかもしれませんが、
研修や勉強会の一環として薬物について指導を行うのはアリだと思います。
どんな問題も「起こってからでは遅い」です。
「まさかうちの講師が薬物なんて」と思うかもしれませんが、
性犯罪だってそれは同じですよね?
みんな「まさか」と思っているし、だから事件が起こるのです。
薬物についても、しっかりリスクヘッジをしていきましょう。
【今回のまとめ】
・薬物に関するリスクヘッジを
・現代の大学生にとって、薬物は非常に身近な存在