【Vol.758(2024.01.10)】弱者(個人塾)の戦い方

私自身、個人塾を運営しています。

どちらかというと職人気質という部分もあり、自分の見える範囲で仕事をやりたいタイプです。
そのため、教室展開はとても苦手です(笑)。

前職(サラリーマン時代)には最大30教室ほどの責任者をさせてもらったこともありましたが、
その経験から自分には「組織作りや社員のマネージメントは向いていない」と痛感しました。

当メルマガも基本的には個人塾の経営者さんを対象にお届けしていますが、
中規模以上の塾経営者さんにとっても、参考にしていただける部分があれば幸いです。

さて、そんな中でこの年末年始に読んだ本があります。

「100円のコーラを1000円で売る方法」というビジネス書です。

【100円のコーラを1000円で売る方法(永井孝尚・著)】
https://www.amazon.co.jp/dp/4806148865

もちろん詐欺まがいのことをして高値で売るという話ではなく、
マーケティングの基本的な考え方が学べる1冊です。

1〜3巻まで出ており、マンガ版もありサクッと読めるのでおすすめです!

ちなみに10年前の書籍ではありますが、
書かれているマーケティング理論の多くは今でも使えますし、
普遍だなと改めて感じることができました。

もちろんこの10年でスマホやAIなども進化しましたから、
細かい部分ではアップデートも必要でしょうが、原理は今でも有効ですね。

その中で、特に印象的だった項目をいくつか挙げてみたいと思います。

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・弱者の戦略の基本は 「競争相手と差別化する」こと。
強者の戦略の基本は「それ(差別化)を封じ込める」こと。
同質化戦略で相手の差別化戦略を封じ込めたり 、規模の大きさを活かして広域で戦ったり、
いろんな商品を組み合わせて総合力で戦うことが強者の戦い方 。

・弱者の戦いは「選択と集中」である。
=====

「個人塾=弱者」という表現はどうかと思いますが、便宜上今回は
「資本力がある大手塾=強者、資本力が少ない個人塾=弱者」とさせてください。

個人塾が地域から認知され必要とされるためには、
やはり尖っている必要があると改めて感じました。

大手塾には真似できない尖り方(振り切り方)が、個人塾の戦いですね。

みなさんの塾ではどういった部分が尖っているでしょうか。
もしくは今後尖らせていきたいでしょうか。

少し考えてみてください。

ちなみに弊塾の尖り方(他塾との差別化)を改めて振り返ってみると、

・土日開校
・年360日開校
・高3には専用自習机
・採用率5%以下で採用した最高の学生講師
・自習室では私語一切禁止(休憩時間や昼食時含め)
・定期テスト前、土日無料勉強会
・高3・中3は強制自習(週5〜7日)
・開校から16年間、塾長と教室長がずっと在籍
・1教室2名社員体制(塾長・教室長)
・2名社員の内訳が男性・女性の1名ずつ
・塾長(私)がいい意味でクセが強い(笑)

あたりではないかと感じています。

一方で、大手塾さんの場合は、各教室でオリジナリティを出しすぎることはできません。

「A教室では毎日開いているけれど、B教室は日・月は休校」などになれば、
支払っている授業料は同じにもかかわらず、
同一サービスの提供ができていないことになります。

全国どこのマクドナルドでも、同じ値段で同じ味のハンバーガーが提供できるのと同じです。

そのため大手塾さんでは、各個人が「こんなことやりたい!」と思っても、
基本的には決められたルールの中でアレンジするぐらいしかできないのが難しいところ。

多少のアレンジができるのは「餃子の王将」がいい例かもしれませんね。
チェーンやFCでの展開ですが、店オリジナルのメニューセットはOKになっています。

ともかく大手塾さんには均一化が求められます。
それがメリットでもデメリットでもありますね。

大切なのは「普通の個人塾」にならないことです。

どちらも「普通」なのであれば、保護者さんや生徒さんは
安心感のある大手塾さんを選ぶはずですから。

個人塾を経営されている方の多くは
「大手さんでは自分のやりたい教育ができない。
だから独立して自分の想いを100%の個人塾を作ろう」
という設立のいきさつをお持ちなのではないでしょうか。

ですから、どんどん尖っていって、
大手さんが真似できないような仕組みや教室を作っていきましょう。

サラリーマン時代には無駄だと思っていた定例の会議などもないわけですし、
時間はたくさんあるはずです。

個人塾をすること自体は目的ではなく手段。
個人塾運営を通して自分の思い描いていた教育を提供することが本当の目的のはずです。

あとはいい意味で「クセのある塾長」であることも大切です。

「あの塾長、全然話聞かなくてサイアク……」と言われるようなクセはダメですよ(笑)。

「あの塾長めちゃくちゃ厳しかったけど、◯◯だった」みたいな好印象が残るクセを、
保護者さんや生徒さんに提供し続けることが大切です。

それが信用の積み重ねとなり、紹介や口コミとなって強固な個人塾になっていきますので。

「選択と集中」も個人塾には必要な戦略です。

個人でできることなどたかが知れています。
大手塾さんだと社員が何十人も何百人もいるわけですから、
同じことをしていても勝てるはずがありません。

ですから、「何を捨てて、何に集中するか」が大事だと私は考えています。

弊塾でも、選択と集中に関しては色々なことを「捨て」始めています。

例えば、小学部を捨て(なくし)て中学部・高等部のみに特化したり、
進度がバラバラで対応しにくい私立中・高を捨て(やめ)て公立専門にしたり、
通知表に「1」がある生徒さんの受け入れはやめたりなど、
思い切ってバッサリと判断しています。

「これで問い合わせが減ったらどうしよう」「生徒数大丈夫かな……」と不安に駆られますが、
1年経った頃には「捨てて(選択と集中をして)よかった」と思える判断になるはずです。

繰り返しになりますが、個人塾だとできることは知れています。
何をやるかという判断以上に、何をやらないかという判断が大切です。

個人塾だからこそ、自由度が増し好きなことができ、
一方で、個人塾は弱小であり大手塾さんにいつでも潰される恐れもあります。

その危機感を持って、これからも弱者の戦い方を進めていきたいですね。

今回は戦うという表現になってしまいましたが、
塾同士で戦い合うというのは本来なんの意味もありません。

その地域の教育がレベルアップできるように、各塾さんが切磋琢磨して、
競い合っていくというのが本来の民間教育のあり方だと考えています。

2024年、弊塾も尖り続けるために、色々なものを捨てて特化していく予定です!

あなたの塾の「尖っているもの」「捨てるもの」「特化するもの」、
よかったらまた教えてください!

【今回のまとめ】
・個人塾は「差別化」「選択と集中」が必須
・地域から必要とされる個人塾になるよう、今年も変わらず切磋琢磨する

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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