【Vol.752(2023.12.15)】大学受験対策、年明け入試に対応できるか

みなさんもご存知の通り、昨今の大学受験は、
受験生の約半数が年内で進学先が決まるという状況になっています。

各大学とも、総合型選抜や学校推薦型選抜の比重を高めており、
それを使って進学する受験生が増えたためで、私たち学習塾も対策が急務になっています。

弊社でも、総合型選抜(旧AO入試)などの理解を深めていただくべく、
12年ほど前から「AO・推薦入試対策の先駆者」、
株式会社PrimaPinguino代表・藤岡慎二先生をお招きして、
志望理由書の書き方や変わりゆく大学入試に関する講演を開催しております。

正直なところ、当時の私もAO入試については疑心暗鬼で
「AO?そんなに流行りますかね?」という感じでした。

藤岡先生の「これから大学入試では絶対に推薦・AOが増えてきます!」という
熱弁に押され開催したのが始まりですが、藤岡先生の先見の明はさすがでした。

最近では、「日本の大学全部行った男」山内太地先生を講演にお招きし、
年内入試の比重が高くなっていることについてご解説いただいています。

今後は少子化がますます進み、大学も早めの囲い込みを行いたいでしょうから、
総合型選抜や学校推薦型選抜での入学比率はますます増えていくと考えます。

こうした背景もあって、数年前に比べ、
総合型選抜や学校推薦型選抜の対策を行う塾さんが増えてきたようです。

総合型選抜専門塾というカテゴリーが出現したのも納得ですね。

また、良いか悪いかは別として、
年内で進路を決めたい(受験を終えたい)という生徒さんも増えてくるはずです。

したがって今後、高等部をもつ塾は
総合型・学校推薦型選抜の対策ができることが必須になってくるでしょう。

さらに踏み込んで考えると、少子化に加え大学全入時代ということもあり、
これからの大学入試は全体的に易化方向に進んでいくのではないでしょうか。

しかも、総合型選抜の対策を本格的に行う高校も増え、
「別に塾に行かなくてもいんじゃね?」となる可能性があります。

一方で、高校にもよりますが、小論文対策や志望理由書の添削などは
経験不足な先生が多いような気がします。

そうすると「塾で添削をやってほしい」となりますが、
高校の先生方も大学入試のトレンドを勉強しないわけにはいきません。

本格的な小論文対策や志望理由書の添削技術を持つ先生方が増え、
授業として組み込む学校も出てくるのではと考えています。

賛否はおいといて、総探の時間を受験勉強の時間に充てる学校もありますし、
高校の先生方もプロですから、必要と思ったことはしっかり仕上げて来られるはずです。

そうなった場合、塾不要論が高校生の中で広がれば、
高等部を持つ塾としては大ダメージです。

一方で、大学入試が易化したとしても、国公立や難関私立大学、
医学部などの難易度は下がらないでしょう。

需要がありますからね。

そのため、年明けの入試対策(難関私大一般入試・共通テスト対策・国公立2次)が
できる塾になっておく必要があると思います。

また、全員ではありませんが、今の高校生たちは
「行きたい大学」ではなく「行ける大学」を選ぶ傾向があります。

安全志向もあるでしょうし、1~2校だけのチャレンジで受験料を抑えたいといった
昨今の家庭の経済状況もあるでしょう。

しかし、本当にそれでいいのかなと私は常に疑問に思っています。

経験上にはなりますが、高3の1年間で平日5時間、土日10時間勉強すれば
学力は相当上がりますし、1ランク・2ランク上の大学に合格できることを見てきました。

しかも高3の10月〜2月は、勉強にめちゃくちゃ時間を投じることができる時期です。

この経験を避け、行ける大学へ行くという選択肢は悪手なのではと感じてしまいます。

悪手というより「もったいない」という思いが強いですね。

がむしゃらにやりきった経験というのは、社会に出てからも踏ん張れる力の源にもなります。

決して総合型・学校推薦型が簡単だとか、ダメと言っているわけではありません。
戦略的でしっかり努力した上での受験なら大歓迎です。

例えば、弊塾からも受験する生徒が多い、
関西学院大学の総合型選抜入試なんてめちゃくちゃハイレベルで大変です。

弊塾でも、何十回と志望理由書の添削や書き直しやり直しを繰り返してきましたし、
GD(グループディスカッション)の練習では、私たちにフルボッコされて泣きまくっていました。

教科学習のように正解がないぶん、ある意味でゴールの見えない修業のようなもので、
それを乗り越えて合格するわけですから、
場合によっては一般選抜の方がよっぽど楽ということもあります。

とにかく、苦労や努力を避けるために学校推薦や総合型選抜を選び、
志望レベルを下げて「行ける大学」に行くという風潮は避けたいものです。

すると塾としては、「行ける大学」を志望する生徒さんや、
単純に年内で受験勉強を終わらせたいという動機に対して、
年明けの入試で1ランク・2ランク上の大学に合格できる希望を見せ、
モチベーションを上げて頑張ってもらえる仕組み作りが必要だと考えます。

つまり、年明けの共通テスト・難関私大・2次対策まで
やらせきる(やってもらう)指導力や管理力が問われる時代になるのではないでしょうか。

その仕組みがある塾さんは、今後5年10年と、
高校生から必要とされていく塾になると思います。

今の大学受験対策に対して逆張りしておくことで、
あなたの塾の数年後が左右されるかもしれません。

トレンドの先にある「未来のトレンド」を考えておくことは大切ですね。

今回お伝えした内容をテーマにセミナーを開催したら、ニーズがあるかもしれませんね。
と言うか、私が一番ききたい(笑)。

講師をお願いすべく大学受験のプロにあたってみますので、ご期待ください!

【今回のまとめ】
・難関大学に合格できる仕組み作りが大切
・塾で総合型選抜対策はできて当たり前の時代に

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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