【Vol.735(2023.10.18)】起こるであろう未来を、「事前」に伝える

先日、ある塾長さんからご相談を受けました。

 

「たくさんの退塾が出てしまい、どうしたら退塾がなくなるのか……」という深刻なお悩みです。

 

現状などをお聞かせいただき、私なりにアドバイスをさせていただきました。

 

今日は、その中の一つをシェアできればと思います。

 

さて、それは「起こるであろう事象を、保護者さんへ事前に伝える」ことです。

「事前」にというのが非常に大切です。

 

もちろんすでに実施しているとか、無意識に行っておられる塾さんも多いと思いますが、

このあたりを考えたことがなかったという方は、ぜひ参考にしていただければ!

 

簡単に言えば、

「今後◯◯が起こる可能性があるので、お子さんが△△になる可能性がありますよ」と、

あらかじめ保護者さんへ伝えておくのです。

 

例えば成績向上は一朝一夕で叶うものではありませんし、

生徒さんのメンタルにも浮き沈みがあります。

 

これを事前に伝えておかないと、保護者さんが目の前の現状だけを受け止め、

「うちの子はやる気がない(見えない)」と表面上の様子で判断する可能性があります。

 

そのうち「成績が伸びない」→「やる気がないならやめなさい」といった話が

自宅で繰り広げられ、最悪は保護者さんの一方的な判断で退塾となります。

 

子どもたちも、売り言葉に買い言葉で

「そんなふうに言うなら、じゃあもういいよ!やめてやる!」となる可能性もあります。

 

逆に、「こうなる可能性があります」と伝えておくことで、

「先生の言ったとおりになった」「心の準備をすることができた」と

保護者さんから感謝されることにもつながるんですよね。

 

ご自宅で保護者と生徒さんがやり合った後から

「いやいやお母さん、実はこういう時期で……」と説明しても、後の祭り。

 

言い訳にしか聞こえません。

 

同じことを言っていても、事前か事後かでこんなにも印象が変わります。

 

事前に伝えておく習慣を私たちがしっかり持っておきたいところです。

 

加えて、気をつけないといけないことがあります。

私たちの仕事は基本的に毎年同じことを繰り返していきますので、

1年の流れの中で何がどうなっていくかが、ある程度予想することができます。

 

生徒さんの気持ちに中だるみが出る時期だとか、

疲れやストレスが溜まってイライラする時期だとか。

 

しかし、それを保護者さんも分かっている前提で動いてしまう、

無意識の思い込みをなくさないといけません。

 

保護者さんからすると、第一子や一人っ子の場合、すべてが未体験ゾーンです。

 

兄・姉がいた場合はなんとなくイメージが残っているかもしれませんが、

私たちがこれまで数百人もの生徒さんたちを見てきたことと比べれば、

それでも経験数が少なすぎます。

 

私たちとっては当たり前であっても、保護者さん分かっていない前提で、

一人ひとり丁寧に伝えていく必要があるのです。

 

特に第一子や一人っ子のご家庭については、丁寧すぎるぐらいでちょうどいいです。

「これらかこうなる可能性があります」と伝え、保護者さんも理解・安心できますし、

塾への信頼が増し退塾減にも繋がるでしょう。

 

もちろん何も起こらない場合もありますが、

「それはそれでよかったですね」と話ができます。

 

なお、弊塾では「こんなことを、こんなふうに伝えていますよ」という事例を、

実際の会話例を交えて2つほど挙げてみたいと思います。

 

(1)中2の2学期はダレる(中2保護者さんに対して)

中2病あるあるですね(笑)。

保護者さんには、中2の夏休み前面談でこんなふうにお話しています。

 

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中2の2〜3学期は、中1の緊張感もなくなり、

中3のように受験も迫っていないので、ダレる傾向にあります。

そういう時期なので、あまりキーキー言われないほうがいいです。

言ったところで改善はしませんし、悪化するだけです。

この時期は成長過程でもあり、何かと自分の人生を考える時間でもあります。

中2の2学期にダレてきたら『おっ、きたな』と思って、

あえて家族での会話量を増やすなどしてコミュニケーションをしっかりとってください。

話を聞いてもらえるとお子さまが感じることができれば、

お父さま・お母さまに対して「相談してもいいんだ」と感じます。

そういったやりとりや時間を過ごした生徒さんのほうが、

中3になった時に頑張れる傾向が高いです」

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中2の2学期はやる気のない様子が見受けられやすいですが、それは当然のことであり、

むしろ取り巻く時期や環境に問題があることをわかっていただけると、

保護者さんのお子さまへの見え方も変わってくるのではないでしょうか。

  

 

(2)中学の定期テストでは、簡単に90点や100点はとれない(小6の保護者)

これもあるあるですよね。

我が子は小学校のテストで常に100点を取ってきたから、

中学の定期テストも100点を取れるだろうと思われている保護者さんは多いです。

 

これも、第一子や一人っ子で起きやすい事例ですよね。

保護者さんに問題があるのではなく、ましてや子どもたちの力がなかったのでもなく、

ただ単に中学の定期テストの仕組みをご存じないと考える方がいいでしょう。

 

これについては、小6の冬休み前面談でこんなふうにお伝えしています。

 

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中学に入ると定期テストがあります。

中学の定期テストが評価をつけるためのテストになりますので、

難易度を上げて平均点が50〜60点ぐらいのテストを作ることになります。

小学校のころのように90点以上を取れる生徒さんは1〜2割程度です。

小学校では大半が90点以上を取れるレベルのテストでしたが、中学ではそうはいきません。

お母さまの中学時代を少し思い出してみてください。

いかがでしたか?

もちろん定期テストで90点以上を取ってもらえるように対策は進めていきます。

ですが、小学校と中学校の点数の仕組みが異なることを、

あらかじめご認識をお願いいたします。

あっ、ちなみに1学期のテストは範囲も狭く出す内容も知れているので、

初回は高得点が取れるかもしれません。

ですが、徐々に難易度が上がりますので、点数は右肩下がりになる傾向となります

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小学校では100点が当たり前だったのが、中学に入ってで50〜60点を取ってしまうと、

「学力が下がった」「勉強してないからだ」という勘違いを産んでしまいます。

 

そうではないということを強く保護者さんに認識してもらうことで、

中学の定期テストに関する知識不足での退塾が減るのではないでしょうか。

 

他にも様々なあるある事例を先生方はお持ちだと思います。

 

ぜひ、その経験と知識を保護者さんへ「事前に」伝えてあげてください。

「なるほど」と安心される保護者が増えるはずです。

 

また社員さんを抱えている場合は、

社員さんも同様の話ができるように研修をしていきましょう。

 

塾長だけが話せても片手落ちですよ!

 


【今回のまとめ】

・保護者さんに起こりうるリスクをイメージしてもらうことが大切

・伝えるときは、必ず先手で

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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